マルチン・ブーバー…

 など最近は読まれないだろうか。
 彼の哲学である、我-それ、我-汝、というのは、私には、ただたんにわかるところがある。
 私の意識がなぜこの宇宙空間に存在しているのかという不思議を思えば、神の意識なるものがあってもそれほど不思議でもないように思う。しかし、神はそのようには、たぶん、存在しない。神はたぶん我という意識の二項関係の構造的な必然のようなものだろう。いや、単純な話、私たちは孤独の底で、一人つぶやくのだが、それは、何者かに向かってつぶやくのだ。哲学とはそのつぶやきの批判的な形だろうと思う。