消費税率8%へ 景気と財政へ首相の重い決断 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 問題なのは、ようやく景気が上向いてきた日本経済が来春の消費増税で失速しないかどうか、不透明なことである。
 日銀の9月企業短期経済観測調査(短観)で、大企業の景況感は大きく改善し、リーマン・ショック前の水準に戻った。だが、今後はペースが鈍るとみられる。

 コアコアCPIが低迷しデフレが継続しているなかで消費税増税をすれば、明白に経済は低迷する。不透明なのは、どこまで落ち込むかということ。

 さらに懸念されるのは雇用情勢だ。8月の失業率は3か月ぶりに4%台に上昇し、サラリーマンの給与も減少が続いている。
 首相は、「大胆な経済対策を果断に実行し、景気回復のチャンスを確実にする」と述べた。

 これは全面的に間違いではないが、雇用情勢の改善の基本はデフレ回復に後続すること。だから、まずデフレの解消が重要だった。

 首相の主導で実効税率引き下げに道筋をつけた意味は大きい。
 ただし、消費税を増税する一方で、企業減税することに対し、国民や与野党から「企業優遇だ」などの批判が出ている。
 経済成長の主役は民間企業である。政策支援を追い風に、企業も内部留保を投資や賃上げに活用するなど、経済成長の「好循環」に貢献することが求められる。
 経済対策は約5兆円と、消費税率2%分の規模を確保するが、「見かけ倒し」では、景気を十分に支えることはできまい。
 減税措置などを幅広い企業が利用するかどうか、政府は成果を検証する必要がある。
 消費税の増収分を当て込み、不要不急の公共事業を拡大することも避けるべきだ。

 この点は正論。

 コメなどの生活必需品や、民主主義と活字文化を支える新聞の消費税率を抑える「軽減税率」の方が、低所得層など広範な消費者に持続的な恩恵が及ぶはずだ。

 「新聞」は笑いを狙ったギャグだがこれもそもそも論で、現下の議論とはスジが違う。