朝日新聞デジタル:社説 17年ぶり消費増税―目的を見失ってはならぬ(リンクは当日のみ)
それでも、消費増税はやむをえないと考える。
借金漬けの財政を少しでも改善し、社会保障を持続可能なものにすることは、待ったなしの課題だからだ。
「社会保障と税の一体改革」という原点に立ち返ろう。
冒頭のこの切り出しからおかしい。今回の消費税増税に反対している人でもマクロ経済が常識程度にわかっている人なら、コアコアCPIの上昇が定着するのを待てということで、時期の問題。これを「待ったなし」とするのが詐術。なので、以下を読む必要もないほどだが。
国債を中心とする国の借金の総額は国内総生産(GDP)の約2倍、1千兆円を突破した。今年度の一般会計では、新たな国債発行が40兆円を超え、予算の半分近くに及ぶ。
最大の原因は、高齢化に伴う社会保障費の伸びだ。医療や年金、介護の財源は、保険料や窓口負担だけでは足りない。国や自治体が多額の予算を投じており、国の社会保障費は年に1兆円ほど膨らみ続ける。
将来の世代に借金のツケを回しながら、今の世代の社会保障をやりくりする――。こんなことをいつまでも続けられるはずがない。社会保障を安定させ、財政の危機を未然に防ぐには、今を生きる私たちがもっと負担するしかない。
これも詭弁のようなもので、この文脈に見合う消費税は20%くらい。その意味では、20%への過程としての背景があるのかもしれないが、財政再建の基本は国家の税収を上げることで市場の活性化が中心になる。少なくともそれを組み合わせないと意味がない。
では数多い税金のうち、なぜ消費税なのか。
社会保障による給付は高齢者向けが中心だ。お年寄りの割合は上がり続けており、所得税など働く世代の負担だけに頼るわけにはいかない。
しかも、現役組は賃金が増えないなか、子育てや教育、住宅など多くの負担を抱える。支援を強化しないと、人口減少に拍車がかかりかねない。
こうした点を考えれば、国民が幅広く負担し、税収も安定している消費税が、社会保障の財源に最もふさわしい。
これは相当に変な議論。逆進性が正しいと言っているに等しい。そもそも議論は、消費税の逆進性を補正して税の楔(tax wedge)(参照)を軽減するようにしなければいけない。
それと政治議論からすると、消費税というのは本来地方税であって、国家がぶくぶくと太るような国税(財務省の権力根拠)としていくことには本質的な問題がある。
あわせて豊かな人たちを対象に、所得税や相続税を強化する必要がある。格差を縮めるためにも不可欠だ。ただ、これだけで消費増税に匹敵する財源を確保するのは難しい。
これも相当に変な話。国税の徴収は厳正に行われていない実態の改善が先決のはず。おそらく10兆円くらいの捕捉が可能。
業者間の取引に、税額を明示したインボイス(明細書)を導入すべきだ。商品やサービス自体の価格と消費税分の区分けがはっきりすれば、取引時の転嫁がしやすくなり、立場の弱い中小事業者が泣き寝入りすることも減らせる。
これは正論だが、そもそも論であり、先の税捕捉と合わせての議論になる。
あまり暴言を言いたくないのだが、こんなのが朝日新聞の社説なんだから、読む必要はないよ。
あと、以下はメモ。
しかし、対策の柱がなぜ、法人税の減税なのか。
政権は、与党内の根強い反対を押し切り、法人税の減税方針を打ち出した。東日本大震災の復興費にあてる上乗せ増税を予定より1年早く今年度で打ち切ることや、その先の税率引き下げの検討を急ぐという。
企業は経済成長の担い手であり、雇用の場でもある。国際的に法人減税の競争が続いているのも事実だ。
ただ、日銀の統計では、企業(金融を除く)は現金・預金だけで220兆円も抱え込んでいる。多くの企業は、収益が上向いても使おうとしない。
まず、こうした現状を改める必要がある。安倍首相は税率引き下げをテコに賃上げを迫る構えだが、財政への影響が大きい一律減税の前に、賃金や雇用、投資を増やした企業の税負担を軽くする手立てに集中すべきではないか。
基本はデフレ下で「多くの企業は、収益が上向いても使おうとしない」は当然のことで、議論が倒錯。