10代でそんなに読むことはないよ
⇒はてなブックマーク - 10代で読んでいないと恥ずかしい必読書 - その1 - PictorialConnect
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とかいいながら、けっこうこれらは私は10代で読んだな。背伸びしたいころであった。
プラトン『国家』
これは存外に面白い本なんだが、いろいろと手順みたいのが必要なんで、「プラトン入門 (ちくま新書): 竹田 青嗣」を先にきちんと読んでおいたほうがいい。
アリストテレス『ニコマコス倫理学』
れいのサンデル先生というかコミュニタリアンで再評価されつつある。現代的な文脈でいうなら、サンデル先生の説明をきちんと理解するだけでよいと思うよ。
⇒[書評]これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学(マイケル・サンデル): 極東ブログ
ショーペンハウアー『意志と表象としての世界』
これ10代に薦めるわけですか。はあと。ショーペンハウアーを楽しく読むなら、「随感録: A. ショーペンハウアー, Arthur Schopenhauer, 秋山 英夫」のほうがいいけど、絶版ですか。ほか昔はこの一部の「女について」はみんなそれなりに読んでいたものだった。だからどうということではないが。
ヘーゲル『精神現象学』
ああ、やめとけ。
へーゲリアンプロパーからはいろいろ異論もあるだろうが、思想的というなら、「人間的自由の条件 ヘーゲルとポストモダン思想 (講談社学術文庫): 竹田 青嗣」が現代的。
それでもというなら、「完全解読 ヘーゲル『精神現象学』 (講談社選書メチエ): 竹田 青嗣, 西 研」。
デカルト『省察』
ああ、これは必読なんだけど、前段の「方法序説 (ちくま学芸文庫): ルネ・デカルト, 山田 弘明」がわかっていないと読んだ意味ない。
で、方法序説自体、実はけっこうむずかしい。
まずこれをきちんと読むといい⇒[書評]反哲学入門 (木田元): 極東ブログ
デカルトってみんな批判するしわかった気になりがちなんだけど、たいていは誤解というか表層的な理解にすぎない。
あとこれもお薦め⇒知の構築とその呪縛 (ちくま学芸文庫): 大森 荘蔵」
パスカル『パンセ』
パンセは多くの人が誤解しているけど、本来は、イスラム神学に対抗するための体系的な書物のためのノートだった。だから、そのところを抑えていないと、警句集とか断章のように読まれてしまう。まあ、しかし、そう読むしかないとも言えるのだけど。
それでも全体像を踏まえた注釈書が必要なんだけど、最近はよいのが見当たらない。
ライプニッツ『単子論』
私はこれは読んだけどわからない。
カント『純粋理性批判』
カントは多面的だけど、とりあえずサンデル先生の説明をきちんと理解するだけでよいと思うよ。
⇒[書評]これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学(マイケル・サンデル): 極東ブログ
あとちょっとずれるけど⇒「私」の秘密 哲学的自我論への誘い (講談社選書メチエ): 中島 義道
簡単にふんふんと読めるけど、大変な問題提起していて面白いよ。
キェルケゴール『死に至る病』
僕らの世代はみんな読んだけど、つまらん。
バーク『フランス革命の省察』
これはとても重要なんだけど、背景が伝わるか。
この問題⇒マリアンヌとコロンビア、国家の擬人化、理性教というカルト: 極東ブログ
ジェイムズ『宗教的経験の諸相』
夏目漱石とかも読んでいた。まあ、あの時代の知識人がよく読んだ。現代人が読んでどうなんでしょ。
ニーチェ『道徳の系譜』
ニーチェでこれですかあ。はあと。
ベーコン『ノヴム・オルガヌム』
なんかなつかしい。頭に残ってない。ヒュームとかのほうが断然面白いと思うが。
フッサール『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』
これはそれほど難しくないというか、後期フッサールであって、いわゆる現象学からははずれる。
後期ハイデガーの文脈に繋がる。
メルロ=ポンティ『知覚の現象学』
これも僕らの時代の必読だった。まあ、面白いといえばそうなんだけど、で?みたいな感じ。
ハイデッガー『存在と時間』
これもパンセではないけど、途中までの、なんつうか失敗作。
これ先にきちんと読んでおくとよい⇒ハイデガー『存在と時間』の構築 (岩波現代文庫―学術): 木田 元」
アーレント『精神の生活』
アーレントでいきなりこれというのが中二病的でナイス。やめとけ。
まずこの辺りから⇒[書評]今こそアーレントを読み直す(仲正昌樹): 極東ブログ
ヨナス『責任という原理』
読んでない。
サルトル『存在と無』
これもあの世代は読まされたのくち。現代で読む意味はほぼないと思う。
ベルグソン『時間と自由』
これは重要な著作なんだが、まあ、読んでおいてもいいけど、ベルクソンは孤立している。
小林秀雄も澤瀉先生から入っているが。
このあたりがよい⇒ベルクソンの科学論 (中公文庫 M 88): 澤瀉 久敬」
でも絶版か。
ミンコフスキー『生きられる時間』
これかあ。
このあたりのほうがよいと思うが⇒時間と自己 (中公新書 (674)): 木村 敏
レヴィナス『全体性と無限』
あー、レヴィナス、つまらんです。説教大杉です。内田樹先生級です。
フロイト『快感原則の彼岸』
フロイトでこれかあ。まあ、そうかもしれない。
ドゥルーズ=ガタリ『アンチ・オイディプス』
私のこの本の評価は、くだらね。
フォーダー『精神のモジュール形式』
フォーダーはゴミ。
ヤスパース『精神病理学総論』
これがまたつまらん本です。ヤスパースはいろいろ読んだが実につまらん。
エレンベルガー『無意識の発見』
未読。
ラカン『精神分析の四基本概念』
ラカンは、ようするにフロイトなんで、そこがわからないとただのレトリックになるだけ。
ラカンの最大の入門は⇒[書評]心の探究(佐々木孝次): 極東ブログ
フーコー『言葉と物』
まあ、面白いです。まあ、必読ではありますね。フーコー好きの人がこれ理解しているのか疑問に思うこともあるけど。
ソシュール『一般言語学講義』
暗記するほど読んだ俺がいう、やめとけ。
丸山圭三郎先生の『ソシュールの思想』はさらにやめとけ。
一般言語学というのは一種の工学です。人文の頭の人が読むから世の中おかしなことになる。
ヴェイユ『重力と恩寵』
すり切れるほど読んだ。ヴェイユは変態です。以上。
ディルタイ『精神科学序説』
つまんなかったなの印象しかない。
ブーバー『我と汝・対話』
ボロボロになるくらい読んだ。これは断章として読まれる本じゃないのな。
⇒植田重雄、逝く: 極東ブログ
ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』
これもやめとけの部類。ヴィトゲンシュタインってなんかかっこよさそうに見えるだけ。
論哲は後期にどう否定されるかというのが重要なんだけど、後期ヴィトゲンシュタインが謎過ぎ。
読むなら⇒ウィトゲンシュタインはこう考えた−哲学的思考の全軌跡1912〜1951 (講談社現代新書): 鬼界 彰夫
ミンスキー『心の社会』
これあきれるほどつまんない本ですよ。人工知能とかやるやつらの脳のスカスカ感が心地よいです。
ライル『心の概念』
知らない。
バタイユ『エロティシズム』
これは「エロ」ではないんですよ。読めばわかるけど、ただのヘーゲルです。
一緒に掲載されて芸術エッセイとかが秀逸。
アガンベン『ホモ・サケル』
未読。
ラッセル『西洋哲学史』
ラッセルはよく読んだ。これはそのなかでいちばんつまらないもの。
ラッセルはお手紙マニアで、書簡集が面白い。最近はないんですね。
あと⇒若きバートランド・ラッセルが自殺を思いとどまった理由 - finalventの日記
ほいで。
10代の内に背伸びして哲学本なんか読むことはないですよ。昔はそういう時代だった。
実際の哲学というのは、数学の一種みたいなもので、方法論と一種の定理みたいのが決まっていて、なんというか、人生の謎を解くとか社会や世界はどうあるべきかという答えに向き合おうとすると、その前でばったり疲れますよ。
哲学なんかどうでもいいから、自分がなんでこんな浮世離れした問いに駆られているかに向き合うべき。
なんでまずこれ
音を視る、時を聴く哲学講義 (ちくま学芸文庫): 大森 荘蔵, 坂本 龍一 |
追記
⇒はてなブックマーク - 10代でそんなに読むことはないよ - finalventの日記
chilican ソシュールについて、「人文の頭の人が読むから世の中おかしなことになる」とか言ってる時点でこの人の底が知れる。 2010/09/295 clicks
ほぉ。
ではこのくらいはわかりますよね⇒Paradigmatic Vs Syntagmatic Relationship from Routledge Dictionary of Language and Linguistics | BookRags.com
追記
uchuu_yarou *review, *books 大変な読書量!理解の深さも伝わってくる。それだけに追記が知的恫喝のようで残念だ。 2010/10/03
いや、ここがわかると、一般言語学が工学に近いというのがわかるので、もし関心があったら、ちょっと説明しようかなと思っていた。
おの構造がわかると、ソーシュールはパロールとする意味論(彼の意味論は機能論なんだけど)の手前の、いえば述語論理的なセマンティクスの関係が問えるようになり、そこで初めて、チョムスキーがD構造を言い出した理由がわかるようになる、と。