朝日社説 自殺対策―20%以上減らすには

 まあ朝日新聞のこの手のネタに言及するのは野暮というものだが。

 昨年は生徒や学生の自殺が増え、統計を取り始めた78年以降で最も多くなった。小学生も14人、中学生は81人もいる。将来ある若い命が失われていくのは残念としか言いようがない。
 大綱は、心の健康や人格形成を手助けすることの重要さを指摘している。それに加え、幼い頃から命の大切さをもっと教えることも欠かせないだろう。
 中高年の男性の自殺は、依然として多い。健康への不安が増す60代だけでなく、働き盛りの40〜50代も自殺する人が後を絶たない。

 78年は私の思春期の終わり青年期の始まりだった。まさに私が自殺すっかなと思っていた時期だった。亀井勝一郎が青年期がもっとも死に近いと言っていた。暢気な亀井ですらそんなことはわかっていた。
 その時代の少年・青年である私が今年は五十歳になる。若い日の自殺には、こういうと誤解がされるだろうが、美が欠かせない。死それ自体が美しく見えるし、ある種の美を求めずにはいられない。だが、四十代も越えるころから、大半の人にはおよそ青年期の美を見失うし、それゆえの死からは遠ざかる。そして重苦しい鈍い絶望がやってくる。酒のうんちくを語り外車を乗り回し商売女とちゃらちゃらやってみせても、そこに絶望は静かに沈んでいる。
 つまりはそういうものと向き合うことが生きるということだという他はない。
 若いとき、古典を読んでおけというのは、なにが人生の季節の課題なのか、死者たちが限りない善意で伝えているからだ。