日経社説 日航は政府頼みでなく痛み伴う再建を:NIKKEI NET(日経ネット)

 朝日と毎日に隠れてチキン決め込むのかと思ったら、ど真ん中じゃないですか。

 JALの差し迫った課題は資金繰りだ。年内にも1000億円規模の資金調達ができなければ、事業の継続に支障が出る。日本政策投資銀行など金融機関に対し、説得力ある再建案を示さなければならない。
 同社は国内外で不採算の50路線から撤退し、国内外での拠点閉鎖も加速する方針だ。人員面では3年間で6800人の社員を減らし、給与カットも実施する。
 一方難航しているのはOBの年金の減額だ。路線廃止では地域経済が打撃を受け、人員削減では現役社員が痛みを被る。痛みの公平な分配の観点から、OBについても一定の措置は必要だろう。西松遥JAL社長は「OBの説得に全力をあげる」とかねて表明しており、経営トップとして力量が問われる局面だ。

 まあね。

 過去10年弱で3度の公的支援を受けてきたJALの現状は、公的支援が問題を解決するのではなく、問題の先送りにすぎないことを浮き彫りにしている。公的資金などを使った安易な延命ではなく、抜本的再建が求められるゆえんだ。
 民主党政権にとっても、JAL問題は待ったなしの課題だ。前原誠司国土交通相はJALの再建を監視する有識者会議を「いったん白紙にする」と表明した。これが政治的ジェスチャーにとどまるのか、より大胆な見直しへの一歩なのか。現時点では判然としない。「脱官僚依存」を掲げる新政権には、航空行政のあり方まで踏み込んだ日本の航空産業の再生ビジョンを期待したい。

 前原ボクちゃんにできるとは思えないのだけど。

産経社説 【主張】「戦略局」始動 求められる「政策調整」力 - MSN産経ニュース

 社説として良社説。

 必要なことは、鳩山由紀夫首相が菅直人副総理・国家戦略担当相にビジョンの策定を急ぐよう指示し、閣内での総合調整機能を発揮させることである。
 18日の閣議では、国家戦略局の前身となる「戦略室」が、財政支出の無駄を排除する行政刷新会議とともに設置された。内閣府古川元久副大臣が戦略室長を務め、今後、国会議員や民間人などからメンバーを加える。臨時国会で関連法案が成立すれば局に格上げされる。
 「脱官僚依存」の方向性は正しい。試行錯誤を重ねることになろうが、円滑な政策決定と制度の定着は欠かせない。
 当面は補正予算の見直しにあたる。菅担当相と藤井裕久財務相の間では、戦略局が予算の骨格を考え、具体的な編成は財務省が行う役割分担が考えられている。迅速な作業とメリハリの利いた予算内容を実現することが重要だ。

 高校授業料の実質無償化や生活保護母子加算復活など、新閣僚たちは矢継ぎ早に公約の早期実現を約束している。しかし、年間31万円(22年度は半額)の子ども手当について、社民党から「高額所得者にも一律支給するのか」と疑問が出ている。また、高速道路を無料化し、ガソリン税などの暫定税率を撤廃する一方で、温暖化ガス25%削減(90年比)を打ち出していることへの疑問は大きい。
 こうした政策の整合性を戦略に基づいて調整するのが本来の役割だ。現状のままでは、公約を実現する財源を捻出(ねんしゅつ)する作業に追われるだけではないか。

 それでも速くやれば上等の部類。

毎日社説 社説:自民党総裁選 「裏番組」でも重要だ - 毎日jp(毎日新聞)

谷垣氏の擁立には派閥トップや長老議員の後押しも指摘される。ただでさえ崩壊寸前の派閥主導と決別する覚悟を示すことが必要だろう。

 ワロタというべきなんだろうな。

毎日社説 社説:鳩山政権の課題 「会見禁止令」 政治主導の看板が泣く - 毎日jp(毎日新聞)

 これもよくわからない。記者クラブの件でネットが上杉踊りをやっているのと同じ様態のようで、ようはただ民主党の稚拙な混乱というだけのような気がしないでもない。まあ、それに乗じて変なこと進めている部分もありそうだが。
 小泉選挙のとき世耕さんが広告界出だったのか民衆扇動屋みたいに言われていたが、現実は民主も自民もそんなことができるくらいならねの展開。
 小沢チルドレンもどっかで情報公開の意味をとてつもなく履き違える悪寒。

読売社説 自民総裁選告示 政権奪還が目指せる党首を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

麻生前首相の後継に本命視された舛添要一・前厚生労働相や、昨秋の総裁選に出馬した石原伸晃・元国土交通相らは、早々と不出馬を宣言した。

 自民党倒壊中に古賀さんがそのまんま東をひっぱりだして馬鹿騒ぎをやっていて、なんだろこの珍劇はと思ったものだった。古賀さんってこの程度の人か、石原ボクちゃんみたくプンプンしちゃうぞと思ったものだったが、まいりました、深慮遠謀とはこのこと。どうせ潰れる自民党なんだから、古賀派を優位にしてボクちゃんシリーズを潰しておくべえという大人の仕事だったわけね。さすがだね古賀さんはと人に語ったら、そんなことブログに書くなよと言われた。
 中川さんは河野太郎を推す。しかたないとはいえ、このお坊ちゃんもなあ。
 ⇒河野氏、総裁になればみんなの党と合流も - MSN産経ニュース

 自民党総裁選に立候補している河野太郎元法務副大臣は18日夜の民放ラジオ番組に出演し、「自民党を立て直せば、渡辺喜美元行革担当相をはじめ、みんなの党に行ってしまった仲間に『戻ってきて』ということはできる」と述べた。自らが総裁になればみんなの党との合流もありうるとの考えを示したものだ。

 このオボッチャンズをしばきたおすためにも、古賀さんに1票という気持ちだな。がんばれよ自民党。(とか書くとfinalvent自民党支持とか言われるのか、ポカーン)。

読売社説 来年度予算 「トロイカ」で編成はどう進む : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 急ごしらえの「トロイカ体制」で、予算編成はうまくいくのか――。
 菅国家戦略相、藤井財務相、仙谷行政刷新相による、予算作りの新たな仕組みのことだ。
 予算の大枠を示す国家戦略局の暫定組織である国家戦略室と、無駄の排除を担当する行政刷新会議の設置が18日に閣議決定された。鳩山首相と3相らによる閣僚委員会の協議も始まった。
 政治主導を掲げる鳩山内閣の来年度予算の編成作業が、事実上スタートしたが、3相がどのように予算編成にかかわるか、役割分担がはっきりしないのが実態だ。
 藤井財務相が、財務省主導の編成を主張したことで、3相間の主導権争いを懸念する声もある。

 いやはやもう勘弁してくださいよ的な世界。
 ダメになるという予想の予定調和がこうも調和的なのはとほほ。そこに亀井さんみたいなヒールも出てくるし。面白いという点では評価するけど。

行政刷新会議が無駄減らしでどんな成果をあげるかは不透明だ。スタッフの選定はこれからである。予算査定を任されてきた財務省主計局とどう棲(す)み分けるか、という問題も残る。こうした点を早く詰める必要があろう。

 ただ、どうも財務相民主党間での手打ちというか、まあ、民主党というよりアレだが、財務相焼け太り路線になるか。菅国家戦略相だなと思う。この人、権力志向だけど、フィロソフィーっていうのは皆無なんだよね、いや原則と実務がないわけじゃないのだけど。麻生さんのちょうど逆のような人。

朝日社説 東欧MD中止―核交渉の歯車を回そう : asahi.com(朝日新聞社)

 朝日新聞のことだからもっとオバマ賛美のマヌケな社説を書いてくれるものかとふんふんと読み進めたら、そうでもなかった。

オバマ政権は、現行のMD配備計画に代えて、イージス艦に搭載される海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を中心にしたシステムを段階的に配備していく方針だ。新たな計画は「柔軟性」を強調しており、イランの対応を見極めていくつもりなのだろう。

 まあ、そういうこと。対露的なMDの意味合いは薄い。この問題は、対中問題や対イランにすでに含まれているのだが、不安定な弧というか中東問題も潜んでいる。枠組みはそれほど難しい問題でもないので民主党でも識者がいるから日本政府がマヌケというのでもないだろうが、日本のマスコミはなと思っていたが、朝日がそれほどマヌケでもなかったのはよかったというべき。

ロシアは自国の防空ミサイルをイランに売却する動きも見せている。米国が配慮の姿勢をみせた以上、中止するのが当然だろう。

 日本ではあまり報道されていないように思うが、イラン問題はもうすぐ期限切れの9月末になる。そのあたりの背景がある。ロシアもこけたし。あと、ベネズエラとかにロシアが兵器を売り出しているのも、ちょっとなという背景もあるだろう。

そもそも東欧へのMD配備の目的は、イランの核・ミサイル攻撃からの防衛のはずだった。だが、ブッシュ前政権はこれを、北大西洋条約機構NATO)を東に拡大するテコにしようとした。国内の反対を押し切ってMD配備を受け入れたチェコポーランド両国にも、ロシアを牽制(けんせい)する狙いがあったようだ。

 ポーランドは国民も米国にアンビバレンツな感情を持っているので微妙だが、チェコは民衆はこういってなんだが少し醒めている。地政学的な要因もあるだろう。ウクライナグルジアの西側工作(工作といっていいだろうと思うが)の頓挫の影響もあるだろう。ただ、直感的には、オバマがここでヘマこく可能性は高そうだ。

朝日社説 国会人事―鈴木委員長への疑問 : asahi.com(朝日新聞社)

 私はムネオ日記を読むのが好きだが、この件については朝日と同様。

そんな鈴木氏が有権者の支持を得て議員として活動するのはむろん自由だ。だが、この人事を押し通した民主党の見識を疑う。

 普通はそうだろう。

 鈴木氏は自民党時代、外務省とのかかわりが深く、人事や政策にも強い影響力を持ったといわれる。小泉政権では当時の田中真紀子外相らと激しい確執を繰り広げ、衆院議院運営委員長を辞任したこともあった。

 そうした過去を思えば、なおさら今回の人事への疑問は膨らむ。これが政権交代で目指した「変化」なのか。党首としての鳩山由紀夫首相に説明を求めたい。国会のことは小沢一郎幹事長に任せたという釈明は通用しない。

 それをいうなら辻元さんもかな。ただ、ムネオさんと小沢さんは同じ根の人だ。なるほどねと思わないでもない。タイムマシンというのはSFの話かと思ったが、日本の政治がそれだった。

薄曇り・ログイン

 早朝にどたばたとしたことがあり、目を覚ます。二度寝もせず、いつのもトーストではなく、冷や飯を温めて朝食とする。冷蔵庫には納豆があった。パン食ではなくても朝はイングリッシュ・ブレックファストティーを飲むのが常だが、コーヒーでも飲むかと思うがコーヒーは切らしていた。いや書きながら、挽いてない豆があったかと思い出す。つばさを見る。ある意味でクライマックス。ありがちな展開だが、感動的ではある。青春も人生もああいうものではないし、またそれを希求するのもどうかと思うが、どこかしらそうでもないなと思いが巡る。ドラマとしてはかなりの出来でというかこれ以上望むべくもなく、半年朝ドラを見て疲れた。そういえば昨晩は寝付かれぬということでもないが、過去のことをぐるぐると思い巡らしていた。30年前の感情が昨日のように想起される。たまに、そんなことあるかと人に聞くと曖昧な答えが返る。まあ、そりゃそうだろう。私の感情の時間感覚はいくぶん病的なところがありそうだし、それは心の仕組みとなにか関係がありそうだが、わからない。強迫の一種ではあるのだろうと思う。テーゼ的に言うなら、人の真というものは感情だが、それが今の感情なのか過去の感情なのか、それを保持しようとするマインドの機能なのかは原理的によくわからない。たぶん、その原理に本質的なマルファンクションがあるというのが道元の教えだろうし、時間認識そのものにそれが潜むのだろうとは思う。それでも、過去の真の感情を遡って偽の感情にすることはできない。ではそれは真であるのかといえばそんなはずもなく、時間の推移は命題の真とは関係のないものだ。にも関わらず、「自我」はその倒錯的な真の仮説から形成されている。

democracyというのは権力を分散させる制度なのだが

 ⇒東京新聞:政調機能 政府に移行 政策決定を一元化:政治(TOKYO Web)

 民主党が政府・与党一元化に向けて検討していた政策決定システムの全体像が十八日、明らかになった。党政策調査会に政策分野ごとに設置された部門会議を廃止するかわりに、与党議員が政府側と議論したり、政策提案する場として、各省庁に「政策会議」を設置する。
 新たな政策決定システムは、小沢一郎幹事長が十八日、党の全所属議員に通知した。

 これだけ読んでいると、行政内に限定されるようだけど。

 通知は「政策調査会の機能はすべて政府に移行する」として、政策立案・決定を政府に一元化すると宣言している。

 問題は「政策立案」が、立法とどう関わるか?
 ⇒民主、政策決定を政府に全面移行 各省に議員参加会議 - 47NEWS(よんななニュース)

 これに伴い、一般行政に関する与党の法案提出は基本的に認めない方針。ただ選挙や議員の政治活動など「すぐれて政治的な問題」については党側で議論、決定し法案提出するとしている。

 これ、「一般行政に関する与党の法案提出は基本的に認めない」というのは、限定は付くけど、日本の民主制度とか関係ない党規則で立法権を事実上拘束してしまうことだよね。
 これはかなりあかんのじゃないか。
 こうなるとは思えないけど⇒全権委任法 - Wikipedia

全権委任法(ぜんけんいにんほう、独: Ermächtigungsgesetz)とは、非常事態に立法府が行政府に立法権を委譲する法律。

 原則として立法権を行政府に委譲したら、歴史が教えるように、democracyは死ぬのだが。
 小沢通達⇒南部義典の国民投票つれづれBlog ―18歳成人 調査研究の日々―:■政府・与党一元化における政策の決定について - livedoor Blog(ブログ)

2009年9月18日

 民主党・会派所属国会議員各位 
 関係 各位
 
 政府・与党一元化における政策の決定について
 
 幹事長 小沢一郎
 
 日々の党務ご精励に敬意を表し、感謝申し上げます。
 鳩山政権発足にあたり、政府・与党一元化における政策の決定について、別紙の通りとすることといたしましたのでご報告申し上げます。
 議員各位におかれましては、必ずお目通しをいただきますようお願いいたします。
 
 (別紙)
 
 1.民主党「次の内閣」を中心とする政策調査会の機能は、全て政府(=内閣)に移行する。
  ①一般行政に関する議論と決定は、政府で行う。従って、それに係る法律案の提出は内閣の責任で政府提案として行う。
  ②選挙・国会等、議員の政治活動に係る、優れて政治的な問題については、党で議論し、役員会において決定する。その決定にあたっては、必要に応じて常任幹事会あるいは議員総会で広く意見交換を行う。従って、それに係る法律案の提出は、党の責任で議員提案として行う。
 2.各省政策会議
  ①副大臣が主催し、与党委員会所属議員(連立各党)が参加する。その他与党議員も参加可能とする。  
  ②政策案を政府側から説明し、与党議員と意見交換する。
  ③与党議員からの政策提案を受ける。
  ④提案・意見を聞き、副大臣の責任で大臣に報告する。
  ⑤政府の会議として、議事録要旨の公開など透明性を確保する。
  ⑥政府の会議なので、団体ヒアリング等については、対象の選定基準と
   与党議員の発言に十分留意する必要がある。
  ⑦部門会議は設置しない。
 3.大臣チーム
  ①大臣・副大臣政務官で構成。
  ②各省政策会議で、提案・意見を聴取し、大臣チームが政策案を策定し、
   閣議で決定する。

 微妙。「それに係る法律案の提出は内閣の責任で政府提案として行う」は、立法権を侵害している印象はある。
 報道⇒YouTube - 小沢幹事長名で党所属の議員に配布した内部資料
 ⇒時事ドットコム:新人が国会活性化を=衆院正副議長が就任会見

衛藤氏も「新人議員がたくさん当選し、議員立法がたくさん成立することを期待している」と語った。

 2005年9月から2009年7月までの国会で30本(衆議院議員第1位)の山井和則議員はどうお考えなのでしょうか。⇒プロフィール | 民主党 山井和則 衆議院議員(京都6区 4期)
  自民党でもそうだったという意見もあるが⇒asahi.com(朝日新聞社):民主、議員立法を原則禁止 全国会議員に通知 - 政治

 民主党は、自民党政権では党内の事前審査を経ないと政府が法案を提出できないといった弊害があったとして、政府・与党一元化を主張しており、すでに党政策調査会の廃止が決まっている。

 ただ、これ、会議でそれなりの独立性はあったと思うが。
 例外もあるというが。

 議員立法が認められる例外として「選挙・国会など議員の政治活動に係る、優れて政治的な問題」にかかわる法案とした。公職選挙法政治資金規正法の改正案といった「政治とカネ」の問題に関連する法案などが該当するとみられる。

 それでも。

 ただ、議員立法がこうしたケースに限られ、原則禁止されれば、超党派や党内有志による立法活動ができず、政策決定の幅がこれまでより狭まる可能性がある。例えば、改正臓器移植法水俣病救済特別措置法など今年の通常国会で成立した弱者救済にかかわる法律は有志議員によって成立にこぎつけた。臓器移植法党議拘束を外すことで採決が可能になった経緯もある。だが、議員立法の原則禁止により、こうした法案の提出が難しくなる恐れがある。

 
追記
 ⇒はてなブックマーク - はてなブックマーク - asahi.com(朝日新聞社):民主、議員立法を原則禁止 全国会議員に通知 - 政治
 この話題、表向きは党派の決まりだから立法府と行政府の一体化の問題ではない、朝日が指摘しているように自民党でも実質同じだったといった擁護論も可能だし、また英国ではこうしたものだろといった擁護論もあるかもしれない。が、米国では現状のように大統領が民主党でもまた議会が民主党優位の政権でも民主党議員を拘束できないことや、ここはどうも誤解されているようだが、日本の場合利権団体がそのまま悪とされるが極論を言えば民主主義とは利権団体の争いであってよい(だからdemocracyはたいした制度でもないと言われうる)。というかその多様性を保持し、権力を分散するシステムでもある。その多様性を現実的に封じていくところへの危機意識にdemocracyの本質的な意味がある。ただ、昨今のネットの状況では、すべての問題が政局の構図、自民か民主化、あるいは左派か右派かという単純な構図に還元され、それ以外をその双方から排除する動きが際立っている。
 ⇒[書評]今こそアーレントを読み直す(仲正昌樹): 極東ブログ

 仲正が取り上げている、現代日本の政治思想のわかりやすい一例には「格差社会論」がある。現実の人間には、社会的地位、学歴、技能、コミュニケーション能力など多面性があり、格差の形成も多様な形態を取っているにもかかわらず、ひとたび思想として「人間らしい平等な生活」といった枠組みが提示されると、それだけから「格差社会と戦わなければならない」という至上命題が現れる。数年おきに起きる通り魔殺人事件が、さも現代の格差社会の結果のように真顔で論じられたりもする。こうなれば政治思想といっても、もはやその主張の党派に入るか否かだけが問われているにすぎない。党派的な「善」や「説明」が希求されれば、「格差とはどのようなものか、なぜ格差が問題なのか」と多様性を志向する議論自体、排除されるべき対象とされ、対立する集団の利権の争いのような政治性に帰着してしまう。あるいは、政治性が先行して思想が類別されるようになる。
 アーレントの思想が起立するのは、こうした「政治性」こそ政治ではないのだする指摘においてだ。アーレントによれば、政治とは、人が公を存在の部分を負って公の場に現れ、多様な議論を形成することにある。複数の主張が公において息づくことが政治だとするのだ。アーレントの政治観からすれば、党派的な命題だけが宗教的に問われる現代日本の「政治」議論は倒錯的だ。さらに、「格差是正は無条件に正しい」といった「善」の倫理は、一つの世界観を提示することで、不安に駆られた大衆を理想に導く「思想」となるが、その「思想」の担い手はマックス・ウェーバーが「世界観政党」と呼んだものであり、その政党性こそ全体主義に至る階梯にある。

習近平、TKO

 ⇒中国:4中全会閉幕 「ポスト胡」軍事委副主席、習近平氏の任命延期か - 毎日jp(毎日新聞)

 習氏は胡錦濤国家主席(66)の最有力後継候補と目されてきたが、軍人事が先送りされたとすれば、今後、胡主席の出身母体である中国共産主義青年団出身で序列7位の李克強副首相(54)との後継争いが激化しそうだ。

 なにがあったかわからないけど、李克強の目が出てきて、それまで小沢民主党が存続していたら……。

ひとまずキター

 ⇒時事ドットコム:予算編成、財務省ペースに=国家戦略局、準備整わず

 予算編成の主導権をめぐり、財務省国家戦略局との間で綱引きが始まっている。民主党は当初、首相直属の国家戦略局が予算の大枠や重要施策を決定、財務省は査定などの実務を担う姿を想定していた。しかし、2009年度補正予算の一部執行停止では、財務省が具体化を進め、準備の整わない国家戦略局はほとんど関与していない。藤井裕久財務相は、10年度予算の基本方針も財務省が策定する意向を示しており、「政治主導」は早くも看板倒れの懸念が出ている。
 「予算の編成権はあくまで財務省にある。その大原則は何ら変わらない」。補正執行停止を決めた18日の閣議後会見で、藤井財務相は戦略局をけん制。戦略局は長期的な視点から助言する機関と強調した。

 ここで国家戦略局が潰れたと見ると、財務相のシナリオを読み間違え。
 財務相の狙いは、国家戦略局を使い回して、他省の離れのすき焼きを召し上げること。
 
追記
 産経も⇒【新・民主党解剖(5)】したたか財務省 さっそく小沢シフト - MSN産経ニュース
 読売も⇒補正見直しは財務主導…戦略室は「開店休業」 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 毎日は⇒日本が変わる:カギ握る戦略局、菅氏起用で「戦う姿勢」 構成・形態、具体像見えず - 毎日jp(毎日新聞)