日経社説 米ロ関係の冷却化を懸念する

 社説から少しそれるのだが、私の認識違いかもしれないが、ロシアという国は、いわゆるロシア民族は、米国がラティーノの国になるように、多数派ではなくなる中期的な未来が控えている。米国はさておき、ロシアの場合、それが内部で強烈なナショナリズムを引きおこす可能性があり、むしろある程度緩和なリベラルな水準を維持するには、CISに対する国力堅持が必要になる。
 ただ、ここはロシアとしても結局は、EUや中国とうまくやっていく他はないというタガが存在するし、プーチンはそれを知っているし、そのコマに日本まで組み込んでいる。だが、どこかで割り切らないといけない部分はある、としているのだろう。

日経社説  「財政調整」が招いた健保組合の解散

 問題は前期高齢者だ。高齢者比率が高い市区町村の国保と、健保組合など現役比率が高い被用者保険との間で財政調整して給付費を賄う仕組みにした。年齢構成の若い企業の健保組合は相対的に負担が重くなり、保険料率の大幅引き上げを余儀なくされたところが多い。そうした組合からは経営努力をしても焼け石に水だ、高い料率を払って組合を維持する理由はない、政府管掌健康保険に移ったほうが経営側も従業員も楽になる――などの声も出ていた。今回の解散劇でそれが現実になった。

 これが大変な問題なのだが、どうしていいか皆目わからない。いやまったくわからないわけでもないが。

毎日社説 社説:景気対策減税 選挙目当てで制度はゆがむ - 毎日jp(毎日新聞)

 あれ?と思った。

 公共サービスの水準を引き上げるためには、個人所得税の水準もそれに見合っていなければならない。果たして、日本の所得税はそうなっているのか。再配分機能を重視する体系にするのであれば、負の課税も考えなければならない。

 負の課税?
 
追記
 ご指摘あり⇒http://d.hatena.ne.jp/finalvent/20080822/1219362541#c1219365089
 ⇒人々が実際に払う所得税 : OECD東京センター
 池信先生⇒ワーキングプアを救済する方法 - 池田信夫 blog
 ⇒負の所得税 - Wikipedia

読売社説 子育て支援 働くママをもっと励まそう : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 働くママをもっと励まそうというなら、ママが子供のメンテについやす時間のうち、週に二時間×2を預かるなりで負担軽減する地域互助の仕組みを作るといいよ。つらいのは、子供に拘束されている感覚。

読売社説 太陽光発電 世界一の座をどう奪回する : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 ドイツに抜かれたかどうかは本質的なことではないと思うけど、というか、このどっかの国に抜かれるという発想はなんとかならないのか。

朝日社説 電気料金―原油高の転嫁は最小限に : asahi.com(朝日新聞社):社説

 電気料金以外にも、都市ガス料金や国際航空運賃で、燃料費高騰分を転嫁する制度を使った値上げが相次いでいる。それぞれの制度は合理的かもしれない。しかしこのままでは、価格転嫁の制度に守られた分野だけで大幅な値上げが進み、それが他の商品やサービスの購買力を吸い取ってしまう結果となる。デフレ傾向をより強める悪循環に陥りかねないのである。
 政府の試算では、原油高などにより日本経済全体で年間28兆円ものペースで所得が海外に流出しているという。それを誰がどう負担するのか。
 原油100ドル超時代に耐えられる経済社会へ移行するには時間がかかる。それまではこの大きなコスト負担を、企業も消費者も、広く薄く「割り勘」で分かち合う必要がある。

 そう。だからリフレでしょとなるかというと。

 電力業界は自由化が中途半端で止まっており、経営の効率化を促す仕組みがもともと不足している。
 電力会社には、原油高の転嫁をできる限り抑制するよう求めたい。政府もこのさい、転嫁と料金認可の制度を見直すよう検討したらどうか。

 となる。

朝日社説 欧州ミサイル防衛―急がず、配備の凍結を : asahi.com(朝日新聞社):社説

 これはすごい意見だなと思った。

 そのために、米国はまず、拙速なMD配備計画を凍結すべきである。

 私もこの命題だけを言えば朝日に賛成なのだが、朝日新聞は東欧におけるMDがその地の政府によって望まれている側面を知らないのかもしれない。

 資源の輸出などで力を盛り返したロシアとどう付き合うか。今求められるのはMDで対立することではなく、ロシアにグルジア撤兵を実現させ、協調関係を再構築することだろう。

 そのためにメルケルが何をしているか。欧州はどう考えているか。NATOの問題で苦悩しているんだよ。

 日本にとってもひとごとではない。近隣には核保有国の中国、ロシアや核実験をした北朝鮮が並ぶ。ミサイル防衛に偏らず、軍縮で安全保障を高める外交をもっと展開すべきだろう。

 それもそれだけ取り上げれば正しい。しかし……なんかなにを言っても通じない壁のようなものを感じてくる。
 昭和初期の世界の、日本の、軍縮の歴史を朝日新聞は知っているだろうか。

猫猫先生の疑問

 ⇒誰にでも小説は書ける? - 猫を償うに猫をもってせよ

吉本隆明はどうやって生計を立てていたのだろうと思ったら、44歳の時に著作集が出ていた。すごい。今なら福田和也だって著作集なんか出せないだろう。

 吉本の特許事務所の翻訳バイト生活が終わったのはいつだったか。そのころだったように思うが、著作集の上がりではたしか食えないのではないか。それとあの著作はある意味で、昭和史の資料の側面がある。
 吉本は自身を売文家としていた。本を出すのは飯のためであって思想のためではないと。
 では思想もそうなのかというと、そこはけじめをつけるためにカネにもならない「試行」を出していた。試行のなかで吉本はカネが欲しいとよくぼやいていた。
 吉本はしかし1冊だけ、思想のために本を書いた。

cover
「反核」異論 (1983年): 吉本 隆明
 あとがきが面白い。

パンセだけど

 池信先生⇒インターネットはいかに知の秩序を変えるか? - 池田信夫 blog

パスカルの『パンセ』は書物の体をなしていないが、私はドストエフスキーと同じぐらい影響を受けた。

 ちょっとウィキペディアを覗くと⇒パンセ - Wikipedia

『パンセ』は、パスカルが晩年に、ある書物を構想しつつ書きつづった断片的なノートを、彼の死後に編纂して刊行した遺著。

 問題は「ある書物を構想しつつ」の部分。瞑想録とは違い、実は体系への意志が込められている。
 私もパンセはよく読んだ方だと思う。ポール・ロワイヤル版だったか。講談社文庫のもので、当時の講談社文庫はニーチェツァラトゥストラハイデガー注てんこもりだったが、パンセのほうも、「ある書物」を意識して注が入っていた。
 私の記憶違いかもしれないが、パンセは、イスラム神学に対抗して書かれたものだと理解している。そのため、実際にはイスラム神学を内包しようともしている(拒絶でもありそしてその拒絶は、イスラームへの拒絶というよりイスラム神学を変えた中世神学への批判)。

そう思う

 ネガネガとかいうこっちゃないけど。
 ⇒はてなブックマーク - 次の JavaScript の仕様はこうなる! ECMAScript 3.0 から 3.1 への変更点まとめ - IT戦記

2008年08月21日 akisutesama javascript 次のJavaScript仕様について、丁寧なまとめ。しかし、そもそもこれでブラウザごとのJavaScript実装が統一されるのかと言うと疑問だし、うちらがアプリ作るだけならjQueryで全部事足りるし、実はあんまり関係ない?

 そう思う。map関数ですら事実上は使えないのに(IE用に定義すればいいけど)。

〔あとで読む〕

 ⇒秋葉原事件と時代の感性:識者座談会/上 - 毎日jp(毎日新聞)
 ⇒秋葉原事件と時代の感性:識者座談会/下 - 毎日jp(毎日新聞)
 誰かを批判っていうことではないけど、「ネオリベ」とか経済以外で使う人ってただのバカなんじゃないかな。