日経春秋 春秋(11/5)

その後は何を割ろうが掛けようが、かつてのようなヒット曲を生むことはできなかった。あれほど流行はしたけれど、しょせん「割る2の音楽」だった、と言えば酷に過ぎるだろうか。「売れる方程式」が通用しなくなった後に残ったのが借金のねずみ算だったとは、わびしい限りである。

 人は墜ちるとなんとでも言われるものだな。
 単純に音楽的才能とビジネスの才能がマッチしてなかっただけではないのか。

日経社説 電機再編促すパナソニックの三洋買収

 最初から関連会社だし落とし所っていうか、買う時期として今が好機というくらいではないかと思っていたが、存外に会社同士の関係は薄くなっていたらしいと聞いた。それでも、縁故はぐっちゃりと網の目のようになっているのだろうな。桑原。

毎日社説 社説:定額給付金 アメ配る詰めが甘過ぎる - 毎日jp(毎日新聞)

 財政の基礎的収支(プライマリーバランス)黒字化だけを目的化する必要はないが、財政悪化を放置することはできない。理念なき経済政策の結末であり、容認できることではない。

 毎日新聞涙目っていうやつかな。

読売社説 国立公文書館 強力な「法人」に改組すべきだ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 国の歩みを伝える重要な記録を保存して、未来の国民に説明責任を果たしていくことは、民主主義国家として当然の責務である。

 まあ、そうなんだがそれ以上に30年したら公開するように。

朝日社説 地域再生―まずは肩寄せ合い自立を : asahi.com(朝日新聞社):社説

 いずれも今、町村に残っている住民の安心や暮らしを考えたものだ。
 だが、人口流出を食い止め、さらには逆転させる最大の手だては何といっても雇用、働き場の確保だ。中心市の多くは人口5万〜10万人だが、その規模で新たな雇用を生み出すにはよほど知恵を絞らねば苦しいだろう。

 若い人はこうした議論に関わっても無力だから、さっさと田舎を出たほうがいいんじゃないか。

曇り

 だいぶ冷える。
 昨晩はよく寝付かれなかった。それで困るというものでもなかった。坐禅もせずなにもせずしばらく時を過ごした。
 夢も覚えていない。
 田母神俊雄航空幕僚長にはそれほど関心はないが、定年という話を聞き、60歳というと老人の部類だろうが、私はああ、この人も戦争を知らない戦後の人なのだと思った。スチルの写真を見た。立派な雰囲気を漂わせているのだが、奇妙な甘さと浅薄さが漂っている。世間に汚れたことのない雰囲気もある。そしてこういうのはなんだが薄く女に甘い感じも漂っている。ようするに凡庸な成功者にありがちな空白感がある。そしてそれは戦後の人の特有なものではないか。あるいはこの時代の戦争を知らない世代特有の。
 そう思って往時の栗栖弘臣の顔を思い出す。栗栖もどちらいえば美男子の部類ではあるし、凜とした雰囲気があるが、それ以前にこの人は仕事の人だという雰囲気があった。仕事で人に接するための笑顔があり、そういう特有の仕事への厳しさというか厳格とも違うのだが、律儀なものがあった。仕事を離れれば、そこいらで普通にベンチに座っていそうな普通の人でもあった。彼は信念というよりただ、職務ということを考えていただろうし、その限定のなかでの愛国心ではあっただろう。ただ、この愛国心すら今の時代では通じないだろうが。
 ”[あの人は]元統合幕僚会議議長の栗栖弘臣さん 安保担った一匹狼”(読売1994.01.21)より。

 自衛官時代の栗栖さんは「直言居士」と評された。「タカ派の一匹狼(おおかみ)」とも。昭和四十年代、革新勢力などの反対で自衛隊の市中行進が各地で廃止された時、広島の第十三師団長だった栗栖さんは、「我々を養って下さっている国民の皆様に見ていただくのがスジ」と、自ら先頭に立って市中をパレードした。

 単に「我々を養って下さっている国民の皆様」という思いでしかなかっただろうと思う。

 制服組の高級幹部(将校)のほとんどが旧陸士、海兵卒の職業軍人出身だった当時、栗栖さんだけは一般大学(昭和十八年九月東大法学部)卒。内務省入りしたものの、即日、海軍短期現役士官を志願し、インドネシア終戦を迎えた。
 戦犯に問われた戦友たちの特別弁護人として現地に残留したため復員が遅れ、内務省復帰を断念して警察予備隊へ、という異色の経歴。その点では「一匹狼」だったのかも知れない。

 戦友を離れるわけにもいかなかったというのは彼にはただの運命だっただろうし、警察予備隊に入るのも望んだというよりは東大法学部卒なのだから官吏として国に仕えるというくらいのものであっただろう。本当の軍人でもあり本当の官吏でもあり、ただ職務をこなしていたという、そういう意味では普通の人だったのではないか。
 その後大学の先生になった。

 若い学生たちに「栗栖事件って、どんなことだったんですか」と質問を受けることがある。「その時の政府と考えが違っていた、ということでしょう」と、やんわり受け流すそうだ。
 「学生さんには、私自身の意見は極力述べないことにしています。安全保障についての歴史的、普遍的な知識を身につけてもらう。土台つくりのお役に立つことだけを考えている。そこから新しい芽が生まれるのを期待しながら……」という。その表情は、まぎれもなく教育者のものだった。(原田 アキラ)

 ここでもただ仕事をしているだけの人だった。教育者というより、人は国を思い国民を思い仕事をするというだけだったのだろう。
 信念はあっただろうが、いわゆる歴史観でも、いわゆる国防観というものでもなく、ただ職務というだけだったのではないか。それがもたらす運命は甘んじて受けて、それが人生を形作るということにも特に違和感もなかったのだろう。

今日の一冊 No.8 「こころ」夏目漱石

姜尚中さんの私の1冊「こころ」夏目漱石 | NHK 私の1冊 日本の100冊
 まあ、ぶっちゃけていうと、姜尚中には漱石は読めていない。まあ、そういうと失礼なんできちんと書くとぐちゃぐちゃしそうだが。
 そして、私は姜尚中に関心が持てない。左派の論客という以前、何を言っているのかよくわからない。これは単純に私がアホなだけかもしれない。メディアによく出てくるので否が応でも見かけるのが、奥様キラーなセクシーなヴォイスとセクシーなルックスなんで、ぐふぇと思うだけ。私は美形男子の思想家というのは受け付けない。西尾幹二を受け付けるものではないが、でも彼の言っていることはわかる、同意しないし、浅薄だなと思うけど。
 今回の番組は、しかし、なにか奇妙な作り込みがあった。作り手のなかに微妙な姜尚中へのクリティカルな構成意識があった。
 永野鉄男という戸籍名を出し、孫正義と同じくクズ拾いの子供時代を出しているのだが、たぶんその露出は姜尚中の意図的なものだろうし、はいはいと番組では定番で流していたのだろうが、微妙に「鉄っちゃん」という語りのなかで、姜尚中の幼い、あれね女からはたまらない男のかわゆさみたいな笑顔を写し取っていた。おお、このカメラの批評力はすごいと思った。
 たぶん、姜尚中という人はこの笑顔で、ずっと身近な人と繋がってきた人なのだろう。それを他のメディアで見せることもあるのか、私は知らない。そして、この奇妙な人なつこさと人への信頼感への期待の熱情は、在日の人によく見られるものだ。「月はどっちにでている」のような。
 姜尚中については仔細は知らないが、ほっておかないタイプの女性で、ありがちな知的で美形で実際には保守的な奥さんがいるのではないかと思う。ちとぐぐったらそんな感じはあたっていそうでもあった。「姜先生、素敵な奥様がいて、私なんか」という引きの思いがまたマダムキラーのツボでもあるし、そのあたりのプロテクションでうまく仕事をこなしてきたのではないか。なんか悪口書いてみるたいだな。
 これも詳しくは知らないが、姜尚中大塚久雄との関係に微妙なアンビバレンツがあるのだろうし、このマダムキラー的なペルソナもその関係の産物なのではないか。そしてたぶん、キリスト教信仰という内面においても大塚とのアンビバレンツな思いはあるのだろう。
 実はそうした各種のアンビバレンツが、彼にとっての漱石の「こころ」なのではないかと思うが、まあ、ちょっと与太を書きすぎたか。
 「こころ」については、山本七平著ということになっちゃったイザヤ・ベンダサンのこれがもっとも深いと思う、文学論としても。「こころ」との関連は上巻だけでよい。

cover
山本七平の日本の歴史〈上〉 (B選書): 山本 七平
 姜尚中に与太書いて、イザヤ・ベンダサン山本七平を称賛しているのだから、こりゃ、礫が飛んでくるのはしかたないか。まあ、イデオロギーとか抜きにしてそう思うのですがね。
 補助としてはこれが読みやすい。
cover
戦後日本の論点―山本七平の見た日本 (ちくま新書): 高澤 秀次
 高澤の見解は新書ということもあって、スキーマティックすぎる面もあるけど、それでもいちおう問題に向き合っている。

ま、ちょっこと

 ドナルド・キーンはすごい文学者ですよ。
 ⇒極東ブログ: [書評]ドナルド・キーン著『足利義政』
 これが労作というわけではないが、こういうのを書いてくれるのは結局キーンしかいない。
 いちおうお国への功績は明治天皇関連でしょう、米人が書いてくれたというか。
 ラフカディオ・ハーンもすごい文学者ですよ。全貌が日本人にはよくわかっていない。
 ⇒極東ブログ: [書評]さまよう魂(ジョナサン・コット)
 パンクと言ってもいいかも。

まあ、オバマは実質は、米国的な生活者意識の意味での保守的だと思いますよ

 政治的にはいろいろ幻影があるだろうけど。
 カワセミ先生⇒カワセミの世界情勢ブログ: 米大統領選を前にして

これは本人が語るメッセージもそうだが、概して倫理的な部分ではむしろ保守的なトーンを保っている。

 ニューズウィークでもそういう感じで指摘された。

銅管

 ⇒一体誰が「低価格ミニノートPC」を買っているのか?購入者の実態が明らかに - GIGAZINE
 ⇒はてなブックマーク - 一体誰が「低価格ミニノートPC」を買っているのか?購入者の実態が明らかに - GIGAZINE

2008年11月05日 hayaton117 これは ほとんどGigazineの考察もない丸々コピペなんだが、いいのか?

まあメモ

 ことがことだけに引用しておくよ。
 ⇒NHKニュース 前空幕長 審理せず定年退職に

11月5日 19時38分
先の大戦をめぐって、政府の見解と異なる内容の論文を発表し更迭された前の航空幕僚長が、退職の前、防衛省に対し一連の行為が懲戒の対象に当たるかどうかを調べるための審理を行ってほしいと伝えていたことが明らかになりました。防衛省は「懲戒の手続きに本人から積極的な協力が得られなかった」などとして、この審理を行わないまま前航空幕僚長を定年退職にすることを決めており、対応があらためて問われています。
 
この問題は、航空自衛隊のトップだった田母神俊雄・前航空幕僚長先の大戦をめぐり、「わが国が侵略国家だったなどというのは正にぬれぎぬである」などと政府の見解と異なる論文を発表し、更迭されたものです。防衛省は一連の行為が懲戒の対象に当たるかどうかについて、「手続きに本人から積極的な協力が得られなかった」などとして、事実関係を調べる「審理」を行わないまま田母神氏を3日付けで「定年退職」としました。これについて田母神氏はNHKの取材に、「退職する前、防衛省航空幕僚監部に対し、『懲戒手続きの審理は辞退しない。時間がかかっても審理はきちんと行ってほしい』と伝えた」と話し、懲戒をめぐる審理を行ってほしいと伝えていたことを明らかにしました。さらに懲戒の手続きについて、自衛隊将官などの人事に関する事務を担当する防衛省・内局から田母神氏に直接連絡が寄せられたことは一度もなかったということで、一連の措置をめぐる防衛省の対応があらためて問われています。これについて、防衛省は「本人に辞職の意思がなく、規律違反に当たるかどうかについても争う意向を示したため、退職の期限までに手続きが終わる見通しが立たず、総合的に判断して定年退職とした」と話しています。

 
追記
 唖然とする続報なのでこれも引用しますよ。
 ⇒NHKニュース “退職金の自主的な返納を”

11月06日 12時39分
浜田防衛大臣は、6日に開かれた参議院外交防衛委員会で、さきの大戦をめぐって政府の見解と異なる内容の論文を発表し更迭された前の航空幕僚長を「定年退職」としたことに関連して、退職金の自主的な返納を求める考えを示しました。
 
さきの大戦をめぐって政府の見解と異なる内容の論文を発表し更迭された田母神前航空幕僚長について、防衛省は、懲戒手続きに積極的な協力を得られないとして定年退職としたため、退職金が支払われることになっています。これについて、浜田防衛大臣は6日の参議院外交防衛委員会で、「今回の件の重大性を考えれば、退職金の自主返納ということで、わたしとしては本人の判断を待ちたい」と述べ、退職金の自主的な返納を求める考えを示しました。そのうえで、浜田大臣は、懲戒処分ではなく定年退職とした理由について、「懲戒手続きを行いたかったが、懲戒免職という形をとろうとすると、手続きに10か月以上かかる場合がある。今できる一番早い処分ということを考えて、今月3日の定年退職ということにした」と述べ、事実上の処分にあたるという認識を示しました。

 関連して。
 ⇒NHKニュース 懸賞論文 自衛官78人が応募

11月06日 12時39分
防衛省は、民主党の外務防衛部門会議で、田母神前航空幕僚長がさきの大戦をめぐって政府の見解と異なる論文を発表し更迭された問題で、論文の発表のきっかけとなった「懸賞論文」にあわせて78人の自衛官が応募していたことを明らかにし、今後、事実関係を詳細に調べることにしています。
 
それによりますと、防衛省は、田母神氏が論文を発表するきっかけとなった都市開発会社のグループ主催の「懸賞論文」の募集について、航空自衛隊の教育課が全国の自衛官に対し紹介を行ったということです。その結果、「懸賞論文」に応募のあった235人のうち、あわせて78人が自衛官だったことが明らかになったということです。これを受けて、防衛省は、今後、航空自衛隊の教育課がどのような形で「懸賞論文」についての紹介を行っていたかや、自衛官の提出した論文に不適切な内容が含まれていなかったかなど、事実関係を詳細に調べることにしています。また、防衛省の担当者は、田母神氏の一連の行為が懲戒の対象にあたるかどうか調べるための審理を行わないまま定年退職にすることを決めた経緯について、「田母神氏からは『審理を辞退する意志はなく、規律違反にあたるか徹底的に議論する』という返答があった」と述べました。河村官房長官は午前の記者会見で、「この中に、どういう内容の論文があったのかや、幹部職員が含まれているのかについては調査中だ。仮に政府の方針に反する内容のものがあれば、公務員としてのあり方も問われるので、当然、厳正な対処を考えなければならない」と述べました。

 
追記
 ⇒前空幕長論文問題:アパ懸賞論文、自衛官78人が応募 空幕教育課が紹介 - 毎日jp(毎日新聞)

 防衛省によると、78人は全員が航空自衛官。階級別では1尉など尉官が64人で最多。1佐など佐官が10人、下士官が4人だった。また、うち62人が小松基地(石川県)に司令部がある第6航空団所属で全体の8割近くを占めた。空幕の教育課が全国の各部隊にファクスで応募要領などを送ったという。
 懸賞論文を主催した総合都市開発「アパグループ」(東京都港区)代表の元谷外志雄氏は、小松基地を支援する民間組織「小松基地友の会」の会長をつとめている。
 空自の内規では、職務に関する意見を発表する際、上司に届けることを求めているが、いずれも届けていたという。田母神氏は3日の記者会見で、他の自衛官が論文に応募した点について「紹介はしたが、『書きなさい』とは言っていない」と話していた。