今日の大手紙社説

 日銀総裁選びが話題だが、各紙社説は民主党バッシングの様相を示している。だが、私はこれは制度の問題が根幹にあり、次に民主党内の合意の問題があると思う。
 小沢は党内合意というような部分をとりあえず白黒付けさせて次に制度的な問題に持ち込んだのだが、結果的にはそういう政治手法が理解されない。少なくともメディア対策としてはすでに失敗しているのが今日の新聞各紙の状況だろう。
 ただ、今日の新聞の対応を見ると、民主主義が手続きな制度であるということがよく理解されていないようだ。
 
追記
 ⇒asahi.com:武藤・日銀総裁案を不同意、白川副総裁は同意 参院 - 政治

日銀人事が国会同意人事になった98年の改正日銀法施行後、不同意は初めて。一方、日銀出身の白川方明・京大大学院教授(58)を副総裁とする案は民主党も賛成に回り、賛成多数で同意された。
 日銀法が定める衆参両院の同意が不可能になったことで、政府は19日の福井俊彦総裁(72)の任期切れを控え、今後、同じ人事案を再提出するか、別の人事案に差し替えるかの選択を迫られる。

日経春秋 春秋(3/12)

 霾――難しい字だが、音読みすると「ばい・まい」訓読みは「つちふる」で雨冠の下は埋とも書く、と漢和辞書に出ている。地上の物が埋まるほど、土が雨のように降る中国大陸の気象現象を指し、これが日本まで来たのを黄砂と呼ぶ。
▼中国最古の詩歌集「詩経」にも現れていて「終風」と題した詩に「終風且霾=終日風が吹き土ぼこりが立ち込める」との句がみえる。日本では3月から5月にかけて多く出現する風物詩で、春の季語にもなっている。ただし、なぜか「大正末ごろから詠まれ出した新季題」(講談社版『日本大歳時記』)だそうだ。

 まそういうこと。「霾」なのだろうが。
 ⇒極東ブログ: [書評]終風句集 終風且暴(石垣終風)

日経社説 「不同意ありき」の民主党は無責任だ

 社説としては特に見るべきものはないが。

民主党は白川氏に同意するが、一定の物価上昇率を目指し金融政策を運用するインフレ目標論を支持する伊藤氏の起用には反対することも決めた。

 とすると、いわゆるリフレ派的には、伊藤隆敏東大教授支持だったのだろうか。リフレは政策のバナーよりも具体的にこういう局面で支援したほうが政治的には有効だったのではないか。
 ちなみに⇒本石町日記 : 民主党、伊藤氏も拒否なの!!=福田首相じゃないが「理由が分からない」よ−追記・欧米中銀再び協調

毎日社説 社説:日銀総裁人事 「採決棄権」も民主の選択肢だ - 毎日jp(毎日新聞)

 そもそも同意人事の賛否が衆参で分かれた際どうするか、他の法案などと違い明確なルールを作ってこなかったのが混乱の要因でもある。

 制度に視点を移す議論は正しいと思う。
 とはいえ。

衆院で指名された首相が内閣を組織することを踏まえれば、やはり野党が人事を覆すには、大多数の国民が納得できる相応の理由がいるのではないか。

 また制度の議論から外れて、テンポラリな大衆心理の問題にしている。
 そのため。

 いずれにせよ日銀総裁がなかなか決まらない事態は避けるべきであり、ここは民主党の自重を求めたい。例えば本会議に欠席、あるいは採決を棄権する方法もある。棄権・欠席すれば参院も与党が多数となり、同意案は可決する一方、民主党が今回の人事に反対したと国民はきちんと認識するはずだ。欠席や棄権はまったく邪道だが、人事の仕組みが不備な中、緊急避難措置として検討してもよいと思われる。

 超・制度的な解決を志向、あるいは、制度的な辻褄合わせをしろ、というトンデモナイ提言をしている。「邪道」と理解したうえで言っているのは高度なユーモアなのかもしれないが。

朝日社説 新銀行東京―石原氏も同罪ではないか

 石原知事に責任はあるけど、制度上「同罪」にはならないと思う。また、運営が間違ったので失策となったのだが、成功すれば責任がないというものでもない。別の言い方をすると、石原知事を追い詰めることで、運営の問題が曖昧されるのは困る。
 ただ、この件、石原知事側に別の「罪」はありそうな印象はある。

朝日社説 日銀総裁人事―腑に落ちぬ不同意の理由 : asahi.com:朝日新聞社説

 この件についても毎度ながら小沢の意見をべたに聞くとなるほどなとは思った。単純に言えば制度の問題っぽい。
 ちなみに⇒クローズアップ2008:参院「武藤案」否決へ 総裁空席に現実味

 「バツ、マル、バツだ。ダメな理由はわかりやすいほうがいい」−−。11日午後、党本部での幹部会合で小沢一郎代表はこう語り、正副総裁候補3人のうち、武藤氏と、副総裁候補の伊藤隆敏東大大学院教授の不同意の理由を明確にするよう、念を押した。

 一方、副総裁人事で元日銀理事の白川方明京大大学院教授については同意した。これは総裁、副総裁3人が空席となることを避けるため。衆院で同意が得られれば、総裁職を代行させることが可能だ。

 白川がいいかは別として野党としてそう決めた場合、この日銀総裁人事制度はこういう運用になるのではないか。別の言い方をすればそれほど異常なプロセスではなく、プロセス的な解決は可能ではないか、と。
 ちなみに⇒本石町日記 : マニア向けですが、本日の日銀論文はお勧め
 もひとつPDF⇒量的緩和政策の効果 ―宮尾論文、渡辺論文に対するコメント― 1.はじめに
 
追記
 ⇒FujiSankei Business i. 金融・証券/総裁空席に現実味 武藤氏、低姿勢も通じず 民主、白川総裁代行を視野

 ただ、武藤氏がいくら“低姿勢”に出てても、原則論から反対を貫く民主党には「疑念を払拭するには至らなかった」(仙谷由人政調会長)と、まったく通じなかったのが実情だ。
 しかも、任期切れギリギリになって、「同意困難な無理なボールを投げつけてきた」(関係者)との不信感が、民主党の態度をかたくなにさせている。
 民主党としては12日に参院で人事案を否決し、早々にボールを政府側に投げ返す戦略だ。さらに空席の責任を回避するため、総裁代行を準備しておくという策も打ち出した。金融政策の理論・実務両面に精通する白川氏なら当面の政策運営に支障はないと判断したようだ。

 それで特に当面の問題はなさそうだが。

今日の増田

 ⇒結婚しようよ。

さいきん、結婚したいなーとやたらに思う。
あとちょっとで27になる私。
彼氏とはもう3年付き合っていて、お互いまあそこそこちゃんと仕事もしてるし、週末はたいてい一緒に遊んで一緒に眠る。
けんかもしたことないし、毎日電話も欠かさない。
たぶんラブラブ。すごくラブラブ。

結婚したら、もうそんな不安感に襲われることもなくなるのかな、とどこか淡い期待があるようにも思う。
でも、結婚しても同じ怖さにとりつかれるような気もしている。
トニー滝谷」でも同じような怖さの話があったけれど、
世間の恋人たちが、何も心配せずににこにこと歩いているのを見ると、やっぱりどこか私がおかしいのだろうか。

 それは世間に対する観察眼が甘いのだろうと思うし、その甘さはちょっと不可解な盲点をもっているかもしれませんよ。

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レキシントンの幽霊 (文春文庫): 村上 春樹

迫り来る京麩

 ⇒Bird flu expert urges vigilance in China: Scientific American

Chinese expert on respiratory diseases says the H5N1 bird flu virus has shown signs of mutation and urged vigilance at a time when seasonal human influenza is at a peak, newspapers reported on Tuesday.
 
"When avian flu is around and human flu appears, this will raise the chances of avian flu turning into a human flu. We have to be very alert and careful in March," Zhong Nanshan was quoted by the Ming Pao newspaper as saying.