毎回些事で申し訳ないのだが…

 散人先生の
 ⇒「紅旗征戎わが事にあらず」(藤原定家)

冒頭にこの定家の名言が引いてある。さっそく孫引き。

 「紅旗破賊非吾事」
 たしかに定家の言として有名ですが、これは、白氏文集から。
 (今の学生さんとか、白氏文集とか知っているだろうか。)

定家の『明月記』は漢文なので未見だったが、やさしい訓読本もあるとのことで、さっそく読んでみることにする。

 たしか、堀田善衛も「名月記」を漢文としていた。たしかに、漢文で間違いないのだが、これは中国語ではなく、歴とした日本語。「歴としたは」、言い過ぎかもだが。
 明治時代くらいまでは、普通の教養人なら、このくらいの漢文は書けたし、もちろん、すらすらと読めたのである。
 「名月記」は漢文、して、古事記も漢文。漢文とは日本語。

今日の新聞各紙社説は…

 主要テーマはない。
 というか、今日の各社説は素っ頓狂なハズシが多くて読むに疲れた。
 社説なんてものは爺が書いているのものなんだろうが、その爺たるもすでに戦後世代なのだ。歴史の感覚がわかってないというか根幹がずれはじめている。もちろん、さらにそこから下る私などは歴史の感覚は遠い。

●日経社説 アジア経済統合を深める理念を作れ

 よくわからないが、どうして日経ともあろうものがこんな与太を書くのか。

●産経社説 天然痘ワクチン 国際的な備蓄網に貢献を

 なんだこれ?
 社説で扱うテーマか。

●産経社説 日米防衛首脳会談 共同防衛の強化は当然だ

一方で、沖縄の負担軽減をめぐっては、米軍普天間飛行場の移設が六年前、名護市の辺野古沖へと決まったものの、滞ったままだ。県側が求める十五年の使用期限問題などがネックになっている。小泉純一郎首相の動きも鈍い。この移設問題は日米同盟関係の根幹を揺るがしかねないだけに、先延ばしは許されない。

 こういうデマを飛ばすからな、産経新聞は。
 辺野古移転は沖縄の問題としておきたいわけだ。そして本土負担については語りもしない。国士というのは沖縄の民とその地に敬意を持っていたものだ。

●毎日社説 靖国参拝問題 国益のためにやめる勇気を

 こういうふうに問題をこじらせるというか政治好きには、ドン引き。
 この問題はしばしうやむやでいい、というか、さっさと国家追悼施設を作ってそこに中国要人を迎えて、よ、一本締め、とかすればすべて終わり。
 という終わりをどうすべという問題なわけで、つまり、それって政治…循環。

●毎日社説 石原都政 308万票の重みを自覚してほしい

しかし、2期目に入ってから1期目のような元気が感じられない。特に週2、3日しか出勤せず、出勤しても庁舎にいる時間は2、3時間というのでは首をかしげざるをえない。

 というのを批判したいというだけか。
 これって新聞の社説かよ。

●読売社説 [自殺統計]「7年連続で3万人突破の深刻さ」

 無意味な社説その2。

 全自殺者の7割は男性だ。遺書を残した1万人余についてみると、経済・生活問題による自殺は、男性が女性の10倍も多かった。特に50代が目立つ。景気は回復途上にあるが、それが暮らしの隅々にまで及んでいるわけではない。デフレ経済の克服を、この面からも急ぎたい。

 ばかでなくては書けない文章。
 50代男性が目立つ、ということを、ボウフラの脳味噌くらい考えろよ。

●朝日社説 出生率低迷 産みたいと思う社会を

 ばかばかしくてパスです。

●朝日社説 靖国参拝 遺族におこたえしたい

 これって、中国様のアナウンスなわけね。ここが落とし所だよ、と。
 GHQ政策はまだ続くと。

かつて陸海軍省に所管されていた靖国神社は、戦死者を悼むと同時に、戦死をほめたたえる、いわゆる顕彰の目的があった。戦意を高揚し、国民を戦争に動員するための役割を果たしてきた。

 国家のために命を捧げるということは尊いことというのはどこの国でも常識だし、それについて各国では宗教的な追悼はあるもの。その宗教的な追悼を国家がすべきではないが、朝日新聞なんか時代を錯誤してね? 靖国は現在ただの民間部門だよ。

 しかし、命を落とした人々を追悼し、その犠牲に敬意を払うことと、戦争自体の評価や戦争指導者の責任問題とを混同するのは誤りだ。上官の命令に従わざるを得なかった兵士らと、戦争を計画し、決断した軍幹部や政治家の責任とは区別する必要がある。

 この論法でいけば、洪思翊は永遠の犯罪人か。
 山本七平はあれだけキリスト教のことを書きながら、直接的には神の御業と自身の関わりについてはごく控えめにしか語らなかった。だが、彼が洪思翊についてなした仕事は、彼の信仰の内の神というものを暗示させるものであったと思う。
 洪思翊はおそらくクリスチャンであっただろう。山本はわかっていながら明確にはあえて述べなかったが洪思翊の裁判と処刑は、恐ろしいほどイエス・キリストのそれと同じなのだ。そのことをいつの日が米人のクリスチャンが知ることができれば震撼することだろう。そしてその日はいつか来ることだろう。
 洪思翊はたしか靖国に祀られている。靖国というのは、中韓のような道教的な思想のそれではない。靖国が神社であるなら、洪思翊を祀るしかありえないだろう。もちろん、遺族の意思でそれを控えるという選択はあるだろう。
 私は…靖国問題はあまり言及したくないというか、公的に言うべきことはない…、また私は鬼神を信じない。しかし、靖国が日本国家と死者との契約であり、私が日本人であるなら、洪思翊を追悼するにそれを戦犯とすることはできない。

「キリストに倣いて」は絶版なのか?

 昨日のエントリに追記後、確認したら。
 ⇒「キリストにならいて」
 プレミアで2800円というのがある。
 おい、岩波、刷り増せ。

トマス・ア・ケンピス(1379/80‐1471)が自らの宗教体験から修道士たちの精神生活の完成のために書いた書。「霊の生活に役立ついましめ」「内なることに関するすすめ」「内面的な慰めについて」「祭壇の秘蹟について」の4章からなり、神への愛を欠く生のいかに空しいかを説く。世界中で聖書についで最もよく読まれた書物であるといわれる。

 これが絶版であることは、世界の恥。

喧嘩売りたくはないがこれはなんとしたものか…

 ⇒MSN-Mainichi INTERACTIVE アフリカ・オセアニア: スーダン油田:日本の非政府系“小社”が採掘権を獲得
 ダルフールでジェノサイドを行うスーダン政府に感謝ですか。
 スーダンの石油利権が得られて、アフリカ支援ができて嬉しいのですか。
 ダルフールの現状はこれですよ⇒A Policy of Rape - New York Times

ダルフール危機にまつわるスピンドクターども…

 finalventさんもWPほど皮肉は言えませんがね。
 スピンドクター⇒http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=spin+doctor&kind=ej&mode=0
 ⇒Darfur's Real Problem

Friday, June 3, 2005; Page A22
SUDAN MAY be extremely poor, but its spin doctors are sophisticated. The suffering in Darfur is terrible, they say, but don't blame the government. The violence is a function of generalized anarchy, which is a function of underdevelopment, which is a function of the West's failure to help: To chastise Sudan's impoverished rulers is therefore hypocritical. Rather than urging punitive sanctions, outsiders such as The Post should urge engagement and assistance.
 
So how do the spin doctors explain this week's news? On Monday Sudan's government showed its real feelings about Western help by bringing charges against the Sudan director of Doctors Without Borders, an intrepid medical charity that runs clinics in Darfur. The next day it detained the charity's Darfur coordinator. Over the past six months, the government has arrested or threatened more than 20 foreign aid workers in Darfur -- not exactly evidence of an appetite for Western engagement.
 
The idea that Darfur's crisis is not really the government's fault has never fit the facts. In response to a rebellion by two local armed groups, Sudan's government attacked civilians with helicopter gunships and armed a local militia to raze villages. Then, far from soliciting international help to deal with the humani-tarian fallout, Sudan's government actually blocked aid groups' access to Darfur. Its policy toward displaced people was to deprive them of food, sanitation and protection: in other words, to kill them. Recently, government troops and their militia allies have engaged in a systematic policy of raping civilians. Doctors Without Borders has been targeted this week because it documented these offenses.

 高橋メソッドにしてみましょうかね。
 
Sudan may be extremely poor,
but its spin doctors are sophisticated.
The suffering in Darfur is terrible,
they say, but don't blame the government.
So how do the spin doctors explain the next news?
Recently,
Sudan government troops and their militia allies
have engaged in
a systematic policy of raping civilians.

A Policy of Rape - New York Times

ちょっとだけ戦犯のこと…

 東京裁判がどうたらという話は、私は基本的にしない。
 戦犯については、すでに刑に服しているので、それをもって終わり。刑死になった人はまさにその死をもって罪を償ったのだから、それで終わり。刑は終わっているのである。
 民間の宗教団体がその霊なるものを祀ろうが、ご勝手に。
 国家が民間の団体に介入するのは、それと限らず原則的に間違い。
 問題は、国家が、その死者をどう扱うかだが、これは、日本が主権回復後に、公務の死としていたはず。そうじゃないというなら、そこを議論しなおすべき。靖国とかの問題じゃない。
 戦勝国による、主権無き日本への裁判を、主権回復後の日本がどうとらえるかはまさに日本の主権の問題。
追記
 おっと、ちゃんと書いてあるじゃんか。
 ⇒A級戦犯 - Wikipedia

 A級戦犯として有罪判決を受け禁固七年とされた重光葵元外相は釈放後、鳩山内閣の副総理・外相となり国際舞台でも活躍した功績で勲一等を授与され、終身刑とされた賀屋興宣元蔵相は池田内閣の法相を務めた。またA級戦犯の容疑者の岸信介内閣総理大臣になるなど大きな功績を残した。
 これら事実から国内法上も実績上も戦犯裁判による刑死者等は実質上名誉回復されている事になる。が、政府としての公式表明で名誉回復について言及していないことや、単に過去の連合国による東京裁判で有罪判決を受けた事実は消えない事から名誉回復は認められないと主張する人物もいる。実質上名誉回復されているものに対して議論の場で「それは認められない」とする事には、偏向した政治的意図が背景にある事も多く見受けられる。
 近代法の理念に基づいて刑罰が終了した時点で受刑者の罪は消滅する。従って処刑されたA項戦犯者は、現在では犯罪者ではない。前述の通り日本はサンフランシスコ講和条約東京裁判の判決を受諾した。これは日本政府が判決に従って刑の執行を継続することであり裁判全体、すなわちそのプロセスや判決理由についてまで同意したという意味ではなく、戦犯者の名誉回復は日本の主権に属する問題である。また日本の国内法上において、そもそも「A級戦犯」という用語を用いた規定は存在しない。

いまごろDVDで見た…

 「アダプテーション DTSエディション」
 ま、面白かった。
 あまり文学的にしないのがよいのかもしれない。映像的な面白さもあった。
 私の印象では、ユダヤ人を強く感じるのだが…。