エコナ問題は瑞穂丹のタッチストーンになりそう

 ⇒花王:「エコナ」販売停止 消費者相「1週間で対応」 − 毎日jp(毎日新聞)

 花王が出荷・販売を一時停止した特定保健用食品エコナ」シリーズについて、福島瑞穂消費者担当相は29日の閣議後の会見で、泉健太政務官をリーダーとした食品SOS対応プロジェクトで対応することを明らかにした。1週間をめどに特保認定の取り消しも含めた行政対応をまとめる。来月1日に関係省庁の担当課長会議を開く

 ⇒asahi.com(朝日新聞社):消費者庁に「食品SOS」チーム エコナ自粛問題で - 政治

 エコナを巡っては、発がん性物質に変わる可能性がある成分が含まれていることがわかり、食品安全委員会が安全性を審議している。販売元の花王から新たな調査結果が報告されるのは11月の見通しだ。福島氏は「結果を待っていては従来の厚生労働省と同じ。科学的な知見を踏み越えるわけにはいかないが、エコナを例に、消費者庁として何ができるかを検討したい」と述べた。
 消費者庁によると、トクホの許可を受けた製品数は制度ができた91年以来、892に上る。

 この問題だけど、当面は、主婦連などが騒いでいるDAGはプロモーションだし(野生ラットでの発癌はない)、トランスファットもスコープにない。
 あるのは、グリシドールエステルから生成する可能性のあるグリシドールだけど。
 ⇒DAG 評価書の修正に関する意見(PDF)

「ワーストケースシナリオ」に従うと、K 社報告の370ppm のグリシドールエステルから生成するグリシドールは分子量から約80ppm と概算される。この値を現有のグリシドールの発がん試験からの情報に照らすと、BfR の仮想的BMDL10 に基づくMoE は一日摂取量が10g のヒトの場合で、約250 程度となる*4。これまで、JECFA や欧州食品安全機関(EFSA)において汚染物質としての発がん性混入物の安全性評価における、健康上の危惧が無いと考えられるMoE 値は10,000であるが、この値から約40 倍の隔たりがあることから、数倍の誤差の可能性を見込んでも、食品安全委員会としてはDAG 油を主たる油脂として日々摂取する国民においては、健康上の危惧が存在しないとはいえない、との結論に達した*5。

 現状ではワーストケース・シナリオの科学的な根拠がない。
 すると、グリシドールエステルの発癌性だけど、IARCのGroup3なので、これを論拠に規制はできない。FDAも今回の状況をヲチしているけど、GRASの変更はなさそう。
 花王側では精製を変更し、グリシドールエステルを抑えれば、現下の問題は解決するのだけど、おそらく問題は、コストだろうと思う。せっかくの利益が飛ぶのではないか。
 そのあたりで、落とし所があるのだけど。
 まあ、瑞穂丹のタッチストーン・ケースとしては最適。
 BfRの文脈では、粉ミルクが問題なんだが。