朝日社説 アイヌ政策―先住民族と認める法律を : asahi.com(朝日新聞社)

 アイヌの人びとは道外にも住んでいるが、日本全体で一体何人いるのかさえ分かっていない。政府が調査したこともないからだ。
 差別や無関心は、次の世代でも新たな貧困と格差を生む。そんな悪循環は断ち切らなければならない。教育の場でも、アイヌ民族の歴史や現状をきちんと教えてきただろうか、と報告は問いかけている。

 サハリン側とはどうなのだろうか。

 さらに「先住民族との共生は、国の成り立ちにかかわる問題だ」とも指摘した。国民一人ひとりが心に留めるべきことではないだろうか。

 この「国の成り立ち」が日本ではよくわかっていない。率直にいうと、日本書紀はある意味で実際の歴史ではなく、農村中央集権型律令制イデオロギーにすぎず、実際の日本史はそういうものではなかった。そのなかで、「アイヌ」がどういう意味を持っていたのか、私はわからないというか、「わかる」方法論がわからない。この状態では転倒された、天皇制と同型になるようにも思うが、右派左派&国民の無関心、それぞれご納得ならそれはそれでいいだろう。
 先住民というとき一つの原型としてヤマノミみたいのがあるが、あれが民族保護とも言い難いようには思う。まあ、実際のところマイノリティに対するアファーマティブ・アクションということなのではないか。
 こういう問題で難しいのは、実際の少数民族というのは、近代化がその旧態依然たる桎梏を解き放つ側面もあり、そのあたりの政治意識はたいていの場合、「帝国化」というか「国民化」に吸収されてしまう面があるからだ。そのなかでもあえてがんばるという悲劇性を負った人もいるが(その転倒のほうも少なくない)、が、たいていはそこで、こっそりと少数民族性を捨てて近代化を選択する。こうした問題は、沖縄の隠された近代史のなかにいろいろあった。