日経社説 制度改革の責任ある道筋を示せ(7/7)

 一方、勝った民主党は大胆ともいえる改革案を公約に掲げた。サラリーマン、自営業などの区別なく、全国民が所得に応じた保険料を納める「全制度の一元化」である。この所得に応じた年金の保険料は当時の厚生年金の保険料13.58%に据え置く。そして所得がない、あるいは低い人には最低保障年金を支給し、そのために消費税を3%程度引き上げて財源とする。保険料徴収のために国税庁社会保険庁を統合する、というのが骨子だ。
 実現できるのかという疑問がないわけではない。自営業などから所得の13.58%を徴収するとなると所得30万円としても月4万円、夫婦では8万円を超える負担となる。労使折半のサラリーマンとの「格差」が生じる。そうした問題点はあるものの、現行の基礎年金の未納、専業主婦の年金の問題点解消にもつながる。選挙前に消費税引き上げも打ち出し検討に値する案といえた。

 原理的には民主党案が正しいと思うのだが、これを国民が飲むとはとうてい思えない。というかすでに私の感覚としては空論。

 もっと驚かされるのは民主党である。基本的には3年前と同じ、全制度の一元化、最低保障年金の創設という案ではあるが、最低保障のための財源については「3%の消費税引き上げ」を引っ込めてしまった。「今は引き上げの環境にはない」と説明しているが、これで納得しろというのは無理がある。また所得比例年金の保険料率をどの程度にするのか、年金額はいくらになるのかも見えてこない。無責任なその場しのぎととられてもやむを得ない。

 消費税なんか現状では上げられるわけがない、と私は思う。というか、そのあたりの打ち手の小槌的な議論はやめにしてもらいたいもんだなと思うが、ブログの議論などもそのあたりはまるでばらばら。まあ、そういうもんなのだろうけど。