神谷美恵子全集配本最後のしおりに…

 だんなが奇妙なエッセイを書いていた。美恵子には、文章からは、見えないものがある、と。
 なんじゃ、それ、というのと、なんか、わかったような奇妙な感じがした。
 たしか、だんなさんは牧師だったか? 違ったかな。生物学者だったか。いずせによ、彼には、美恵子さんのあるなにかを看取してそしてそれと共に生きてきたのだろう。
 それはなんだったのだろうか。鬱とか狂気とか、そして、性に関連するなにかだろう。もちろん、それがなんだかわからない。ただ、その夫婦関係のなかには奇妙な陰翳のようなものがあったのだろう。
 それが美智子さんにも関わっていたのだろうな。
 こういう40歳過ぎた、ある種の男女の関係性のなかにわきおこる、なんとも言えない奇妙なものは、なんなのだろう?