今日の大手紙社説

 米ロ軍縮ウイグル騒乱が話題。どちらもそなりの社説が多いのだが、深みにかける。問題の個別性にあたらず、理念的に自己擁護的に書いている。
 ウイグルと呼ばれる地域はCISとそれほど変わりない。そういう認識は中国の手前、大手紙には見えない。
 たとえば⇒東トルキスタン共和国 - Wikipedia
 問題はそう単純ではない。
 読まれるとよいと思うが、本⇒極東ブログ: [書評]「多民族国家 中国」(王柯)
 上のエントリ中の東大大学院留学生は⇒トフティーさん、その後 - finalventの日記

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多民族国家 中国 (岩波新書): 王 柯

産経社説 【主張】ウイグル暴動 抑圧をやめて格差解消を - MSN産経ニュース

 標題を見て脱力した。内容はそれほどひどくない。

 中国政府にとっては、天然ガスや石油など豊富な地下資源に恵まれた死活的に重要な領土であり、最近では国家プロジェクト「西部大開発」の対象地域として巨費を投じてきた。

 これがやっかいな問題だ。

 問題は自治区の主要企業の大半が漢族によって経営されるなど、経済発展の恩恵が少数民族に十分行き渡っていないことだ。かつては自治区人口の5%にすぎなかった漢族は今や40〜50%を占め、少数民族は言語・文化・宗教の各分野で圧迫された状態にある。

 文化的ジェノサイドいう言い方もあるが、そういう比喩もまた少し違う。

毎日社説 社説:新疆自治区暴動 民族政策に寛容さ欠く - 毎日jp(毎日新聞)

 ウルムチウイグル人の居住地区と漢民族の居住地に分かれている。言語、宗教、生活習慣が違うだけではない。民族の違いによる所得格差が歴然としている。同じことはチベットでも言える。民族自治区域において、その土地の少数民族が貧しく、外来の漢民族が豊かなのは、民族政策に問題があるのではないか。

 そう言いたいのはわかる。しかし、現実において民族紛争に見えるものは、宗教的・文化的な対立ではなく、直接的な政治や利害の対立であることが多い。左派の理念が世界認識をしくじるのはそこだ。

朝日社説 asahi.com(朝日新聞社):社説 2009年7月8日(水)/ウイグル騒乱―弾圧しても安定はない

 背景にはイスラム教徒のウイグル族と多数派の漢族の、根深く鋭い対立がある。建国60年を迎えても、中国当局は民族問題に本腰を入れて取り組んでいない。それどころか結果的に対立をあおっているようにさえ見える。

 そうも見える。
 ウイグルを中国を手放すことはない。また、民主化もないだろう。今回の中国の動きはなんだろうか。
 これが中国人と呼ばれる漢ナショナリズムにどう見えるかという、メディアの戦略かもしれない。
 話はずれるようだがイランの暴動はどうも報道されない部分に巧妙な仕掛けがあったようだ。西側の仕掛けではなく、体制側のIT制御だ。TwitterYouTubeのような子供だましで見えなくなるが、巧妙に体制側もITを駆使していたようだ。中国も同じだ。ITは途上国においても自由のツールではなくなりつつある。

朝日社説 asahi.com(朝日新聞社):社説 2009年7月8日(水)米ロ核合意―他の保有国を引き込め

 逆に言えば、冷戦思考のもとで減らせる限界まで踏み込んだのが、今回の合意の意味である。

 というけど。

 2大核大国が動かなければ、世界の核廃絶は実現しようがない。

 それが冷戦思考そのものなんだが。
 米ロの核はコントローラブルであり、どちらも同盟国の関係が悩みになっている。核の拡散は、途上国側で進行しつつあり、中国は本意ではないにせよ、スジの悪い位置にある。

曇り

 天気図からは天気が読みづらい。夢は覚えていない。昨日のクロ現のオバマの戦争の話はひどかった。好意的に解釈したいのはわかるが、要点はNATOとゲリラ戦にある。そして識者の米人に1年半はかかると言わせていた。巧妙に失敗を読んでいる。世界には現実がある。

大石先生大いに日垣隆を褒めるの巻

 ⇒便所飯: 大石英司の代替空港

私はずっと書いて来ましたが、日垣隆って人は、この手のルポジュタージュをさせると第一級なんです。私はその部分で、彼の能力と執念を疑ったことは一度もありません。

 まったくそう。WILLの同記事についても同じ。

エスニック料理にいまいちなのが多いのは

 ⇒http://anond.hatelabo.jp/20090708134255

タイ料理ってまずいイメージがあったが、こないだ連れていかれた店で食ったグリーンカレー炒飯という意味不明のメニューはかなり美味かった。

 エスニックがいまいちなのは、エスニックということで逃げてて調理の基本ができてないのが多いからではないかな。タイ料理でもきちんとした料理人が作ったのは、おいしいです。なかなかないけど。