朝日 薬ネット販売―国会と政府に反省促す : 朝日新聞デジタル:社説

 大筋でそう間違った議論でもないが、誰かを叩きたいという欲望が剥き出しで、それを「国会、省庁双方の意識の低さ」としているのが、情けない。

 改めて思うのは、国会、省庁双方の意識の低さである。
 薬事法改正の際、ネット販売の扱いは当然問題になった。だが国会での議論は生煮えで、結果として「対応は厚労省にお任せ」という事態を招いた。

 まず簡単に言えることは、国会、つまり議会が問題だということは、一義には国民に責任があり、国民とその関係を切り込まないでいたジャーナリズムに次の責任がある。
 「省庁」についてだが、これが非常に難しく、詳細を知る人が見れば、それなりに技術的にかなりよく詰めていた。特に、「指定第二類」が設定されているのは、実際には、ネット業界の育成(つまり業界基準の設定)をまってそこまで引くはずのものだった。これは、大衆薬チェーン店市場とのバランスを考えてのことで、現行ではチェーン店側が強くならざるをえないが、厚労省はその利害だけで動いているほど阿呆ではない。欧米では業界基準があることを知っている。
 まず、誰かを叩いくことで正義を語るという文脈をやめたほうがよい。
 そしてこの問題が何であり、誰に利益で誰に不利益があるのか、きちんとした全体構図を見た方がよい。
 全体構図でいうなら、一連の改革は安全性に配慮しつつ、処方薬を市販薬化することで医療負担を減らし、その分、有益な医療に注力するためだった。
 そのスキームが壊れるとどうなるのか。そこを念頭に議論しなければいけない。
 そうであれば、もし批判されるとするなら、業界基準を作らず、判決日に第一類を販売再開したネット業界が問題だろう。