朝日 年金一元化―信頼を高めるために : 朝日新聞デジタル:社説

 そもそも一元化の方針が閣議決定されたのは84年のこと。公務員側の抵抗で話が進まなかった。「公務員の年金は優遇されている」という不満は、社会の連帯感を損ない、年金制度への不信を招いてきた。
 07年に自公政権が国会に法案を提出したが、民主党が自営業者の国民年金を含めた一元化を主張し、廃案に追い込んだ。
 今回の法案は、07年の時とほぼ同じ内容である。自公も反対する理由はないはずだ。

 ああ、民主党という感慨深い一品。率直にいって、もう民主党は終わっているのだから、感慨するまでもないが。

 もっとも、法案はいくつか議論のある点を抱える。
 例えば、恩給制度の名残として公務員共済だけに投入されている税金(追加費用)だ。これを減らすため、恩給部分がある年金を最大1割削るが、削減額が妥当かどうか。
 もう一つは、積立金の仕分けだ。公務員共済がもつ約45兆円の積立金のうち厚生年金に回すのは24兆円で、残りはすでに給付が確定している職域加算分に使う。これは公務員に有利な配分になっていないか。
 どちらも意見は様々である。国会で徹底的に議論し、政治的に決着させてほしい。政局優先の先送りで、官民格差が温存されるのだけはごめんだ。

 官民格差は象徴的な意味合いしかない。制度的な問題は国民年金にあるが、その問題とは独立しているかに見えるし、なぜか、朝日も言及していない。カテゴリーが違うといえばそうだが、本質的な問題にどう取り組むかがまったく見えない。