毎日新聞社説 社説:欧州の脱原発 フクシマの衝撃は重い - 毎日jp(毎日新聞)
原発政策は、経済や政治の統合が進む欧州と、海に囲まれた日本とでは事情が違う。欧州は欧州、日本は日本である。その欧州も、仏英などの原発推進派と、独伊やスイス、ベルギーなどの「脱原発」派に分かれているのが実情だ。80年にいち早く脱原発へかじを切ったスウェーデンの議会は昨年、方針を転換する法案を小差で可決している。
だが、脱原発に踏み切った独伊の決断はあくまで尊重されるべきである。脱原発を進めれば電力コストがかさんで国民負担は増えやすい。閣議にせよ国民投票にせよ、脱原発の決断はそう簡単ではない。両国はフクシマを反面教師とし、多少の負担増は覚悟の上で「安全」を選んだといえよう。
ドイツは「脱核兵器」にも前向きで、国内に配備されている米軍の戦術核兵器の撤去を求めてきたことも忘れてはなるまい。
西欧についていえば地続きのフランスが原発を廃止しなければ構造は変わらない。特にイタリアに至っては過去の経緯、現状の電力状況を見てもただの冗談でしかない。