日経新聞社説 「脱原発」欧州の不安と現実  :日本経済新聞

 1986年のチェルノブイリ原発事故を受けた国民投票の結果、イタリアは90年までに、国内4カ所の原発を閉鎖した。現在は電力の約15%を、フランスやスイスなどからの輸入に頼っているのが現実である。
 電力料金は欧州で最も高い水準であり、これがコストとなって産業競争力の足かせとなっている。恒常的な電力不足を解消するために、ベルルスコーニ政権が原発の運転再開を模索してきた経緯がある。
 今回の国民投票に至るまでに、国内で長期のエネルギー政策について十分な議論が交わされたとはいえない。国民は脱原発を選択したが、政府は風力や太陽光発電などで代替する具体的な政策を描けていない。
 国民投票には、不祥事が続くベルルスコーニ政権の信任を問う意味もあった。投票結果には、原発への不安と政治への不信が重なり合う形で映っていると考えるべきだろう。

 そういうこと。