晴れ

 春らしい薄曇り。花もぼちぼちと咲き始める。また、この季節かと思う。私はたくさん花を見る。カネに恵まれる運命ではなかったが、花には恵まれている。だったら、それもいいじゃないかと思う。宣長の歌に花と契るというのがあったと思ったが、そしてそれは暗喩でもあるのだろうが、花にはそう思わせるものがある。女に恵まれたか? まあ、そこはどう語るか苦いものがある。50歳過ぎてみると、若いときに思った性欲が衰えるというのは微妙に違う。もちろん、衰えるのだが、衰退というより、意識にうるさく干渉しないようになるというのと、自我の癒着した性欲のようなものに変質する。権力やカネがあれば、こうした屈曲それ自体が自我と化してくるだろう。女もいわゆる美人であれば40からの衰えをどう受け止めていくかで似たようなことになる。