日経春秋 春秋(2/1) その2
承前⇒日経春秋 春秋(2/1) - finalventの日記
この話の続き⇒「finalvent さんの漢字論」珍説を再び斬る(10) - hΛlの女好き日記(2010-02-10)
で。
1行で説明できることを延々ひっぱって、はぐらかす理由は、「漢字字源辞典」の漢字の音がどの時代のものであるかわからないで最初はぐらかしてたように、そんなことどこにも書いてない、アナタの思い付きだから、説明しようにも説明できないんじゃありませんか。
そういう推測することは自由だけど、この件は原典を参照すれば終わることですよ。
非常に奇異な判断ですよ。「斦(gin)→祈(ki)、希(ki)→斦(ti)」の中に”二斤”の「斦」は登場しないではないですか。しかも、ご自分で書いてるようにそれはあなた自身の「判断」です。
これもなんども言っているのだけど、漢字としての「斤」と「斦」がそれぞれある時代に音価を持つということと、「質」の音指標の「斦」は同一視できない、というか、それはまさに音指標なんだということ。そして、音指標の機能の面で、このコンテキストでは「斤」という音指標と「斦」という音指標の差異は、山田氏の例解からは判別できないということ。
それと、これを言うと、混乱するかもしれないし、山田氏の説を逸脱するかに見えるから言わなかったのだけど、「質」の音指標の「斦」の音価は、(この漢字の創出時の)共時性として見れば、まさに、「チ」なんですよ。
なぜ「チ」なのかということは不思議だから山田氏は、それを言語からはずし(音変化として取り出し)個別に通時性の説明を与えているということなんです。
以下は、詭弁の特徴という面白いものが出て来たので、その感想をごく簡単に。あー、いややめとく。エントリ書く暇もないほどお仕事忙しいんですよね。でも、それをもって、「【トボケ通す】」とか言わないでね。
恭喜発財! よい新年を!
追記
お仕事忙しいんじゃなかったのかな。
⇒「finalvent さんの漢字論」珍説を再び斬る(11) - hΛlの女好き日記(2010-02-11)
どうも〜。詭弁の限りを尽しつつ、一方でそういうお愛想はできるのですね(^^) 面白い人です。
あ−、それは、本人としては「詭弁の限りを尽しつつ」って自覚がないからというもあるし、というか、本人意識としては詭弁って使ったことないし、通じてないなというときでも議論というのと、「お愛想」と理解されているみたいだけど、普通に人との対話するというのは別だと思っているから。つまり、罵倒とかの修辞を弄するべきではないと思っている。それは議論にも関係ないし。
id:finalvent が根拠を全く提示してくれないので議論がストップしまくりです。
山田氏の本以上の根拠ないよ。そして、該当書をご覧になった所感を伺いたいと思っているだけだよ。
ただし、今の時点で私は件の書を読んでないので 2% ほど留保を残しておきます(笑)。そんなもんですかね。
その2%で人生観が変わるかもしれませんよ。
で、まあ、ご挨拶はそれだけだし、特に論点もなさげなんだけど、一点、ああ、これはとんでもない誤解だなというのがあるので、そこだけ指摘しておくよ。
概念の包括関係や例証と推定という考えたが苦手で混乱されているのだろうと思うけど。
「齗(gin)→祈(ki)、希(ki)→絺(ti)」を見て、「ギン」の音を持つ漢字は「チ」に音変化すると誤認してる点。正しくは、音符「斤 kin」の音が gin(齗) や ki(祈) に変化し、会意文字「希 ki」を音符とする会意形声文字「絺」ができる過程で、音符「希」の音が ki から chi に変化したという二つの音符の変化を並列して並べたものを一繋がりと錯覚したものと思われるが、最終的には山田氏の著書にあたって確認するしかない。
なにを言っても詭弁と言われるので、徒労感があるのだけど。
「「ギン」の音を持つ漢字は「チ」に音変化する」なんてこれっぽちも思っていないし、主張していない。
「質」の音価が「チ」であることを、山田氏は、これは解説したほうがいいのだろうと思って、「ギン」が「チ」に音変化する類例は他にもあるという、例証をしただけのことだ、と私は理解しているよ。
それが一般則ではないことは、山田氏の本の他の漢字の語源解説を見てもわかることだよ。
ただし、「ギンがチに音変化した」という摩訶不思議な論理は常識で考えてありえないのは明白。「銀 ギン」は「恥 チ」に”音変化”したのか? 「銀」の元の意味は「恥」なのか? そのバカバカしい論理の誤りは考えるまでもない。よって、図式の解釈はさて措き、『「ギン」の音を持つ漢字は「チ」に音変化する』はバカバカしい論理で誤り。
山田氏はそれを「摩訶不思議な論理は常識で考えてありえない」とは見てない。
「「銀 ギン」は「恥 チ」に”音変化”したのか?」は、たんに罵倒したくて面白い例を挙げたのだろうけど、そんな話はしてないし、それも山田氏の本の解説を読めばわかること。
関連して補足すると。
id:finalvent が「質」の音符を「斤」であると勝手に解釈した点。
「斦」と書くべきだったけど、音指標としては山田氏の例から、「斤」と理解しても問題はないと思ったということ。ちなみに、この異体字で「貭」という字があるのは知っているよね(知らないとか言われるとびっくりするけど)。なぜそうなるかは、私みたいに、かったるく思うから。
「チ」の音の意味は「直」というのは全くもって意味不明。ちなみに、これは「斦」とは全く関係ない話。(中略)気になるのは、この「直」の字がなぜ唐突にでてきたか。「チ」を漢和辞典で調べると、画数が少ないから初めのほうに「直」の字が出てくるのだけどまさかね…。
山田氏の議論から逸脱しないようにしているけど、彼の書籍の序文などから推測して、朱駿声の「説文通訓定声」をそう理解しているからだと思うよ。
あと、これも関連しているから補足すると。
漢字としての「斤・斦」と音符としての「斤・斦」なんてのを区別するからおかしくなるんですよ。
これは、言語学の視点からそう区別したほうが合理的だということだし、山田氏の書籍でも音符は実質そう理解されていると思う。というのは、「質」において、「斦」を音符としても、その一般的な「ギン」をとらず「チ」としているから。たぶん、そこがまるで理解されていないから、私を詭弁にしたいんだろうけど。
で、補足すると返って誤解されるだろうけど、もしかして私の議論を詭弁じゃないよと思うかたがいると仮定して(笑)、「質」の音符(音指標)「斦」が「チ」であるところで、「質」がその意味を得たということが、この漢字のとてつもなく面白いところ。つまり、「質」が「ギン」という音価をもって成立して、それがしだいに「チ」に音変化したんじゃないのだということ。ただし、「斦」が「チ」という音指標をもっているのは、イレギュラー感があるから、山田氏は、ギンという音がチに変化しうる、つまり、「斦」という音指標が「チ」と読まれる例を挙げている。(この話を明確に理解するために共時性/通時性の話をしたのだけどね。)
こうした考察の背景にあるのは、「斤・斦」というのを、漢字ではなく、純粋に音指標として見ているからで、つまり、機能としては漢字ではないということ。
まあ、これも詭弁・詭弁と言われるのだよね。とほほ。
できるだけ議論はワンストップにしたのだけど、この日も手狭なんで、転居。
続きはこちら⇒日経春秋 春秋(2/1) その3 - finalventの日記