今日の大手紙社説

 昨日の小沢氏の被疑者聴取が話題。他は中国バブル懸念など。本来なら中国バブルのほうが深刻な問題ではあるが、小沢疑惑はこの政権解体の起点ともなりかねないので、関心が集まるものしかたがない。
 今後の展開だが、東京新聞のまとめがすっきりしている。
 ⇒東京新聞:共謀立証なら立件も 地検特捜部、徹底捜査へ:社会(TOKYO Web)

 小沢氏側の政治資金規正法違反事件の捜査は今後、陸山会代表の小沢氏の刑事処分の行方と土地購入原資の解明が焦点になる。東京地検特捜部にとって小沢氏からの聴取は踏むべき捜査の一つを終えたにすぎず、聴取内容も予想されたとみられる。特捜部は、小沢氏本人の処分に向け捜査を徹底させる方針だ。
 特捜部は事件をめぐり、小沢氏への同法違反容疑での告発状を受理した。このため、起訴、略式起訴、不起訴などの処分を判断することになる。この処分を決める鍵は、逮捕された衆院議員石川知裕容疑者ら三人との間に虚偽記入の共謀があったかどうかだ。
 共謀が立証されれば小沢氏も立件対象に含まれるのは間違いない。立証には虚偽記入について、小沢氏の指示や関与を認める石川容疑者らの供述や、その供述の裏付けが必要となる。石川容疑者は既に虚偽記入を認めているとされるが、検察側による供述調書の作成を拒んでいるとの情報もある。公設秘書大久保隆規容疑者は、容疑を否定しており、立証のめどはまだ立っていないとみられる。

 石川容疑者の供述調書が出れば駒が一つ進む。安田弁護士の腕の見せ所。

 事件の性格を決定付けるのは土地購入の原資だ。特捜部が疑うように原資に、公共工事受注に絡むゼネコンからの裏金が含まれていれば、小沢氏側に職務権限がないだけで、汚職事件と同様の構図になり、悪質性が増す。
 小沢氏は聴取で裏金受領を全面否定し、土地代に充てたとする多額の個人資産の存在を強調した。しかし、個人資産があることが、土地代に使われたことの証明になるわけではない。原資をめぐる小沢氏側の説明は変遷しており、特捜部は再聴取に踏み切る可能性もある。

 そのあたりは国民とのコミュニケーションということもあって慎重に進めるのではないか。その慎重さが誤解される部分は大きいだろうが。

 ある検察幹部は「収支報告書は政治家を評価する一つで、うそを書くことは国民をだますことと同じだ。政治資金規正法は政治家自らが立法した法律で重みが違う」と述べ、形式犯との見方を全面的に退ける。

 このあたりの河はすでに渡っているもよう。

 小沢氏に職務権限がない以上、裏献金を立証しても政治資金規正法違反の枠を超える罪には問えない。特捜部は、それでも全国から応援検事を集め、法と証拠を武器に政治とカネの在り方を国民に問おうとしている。

 昨年の西松偽装献金ではその手前のぼやけた絵だった。そしてそこだけ見るなら検察は明らかに暴走していた。その暴走の意味が、これからどう問われるかは、とても難しい問題になる。民主制度というものを哲学的に問い直す結果になるのではないかとも思うが、予断は避けたいところでもある。