沖縄基地のこれだが

 オブイェクトさんのこれ⇒ヘリコプターの進化と沖縄海兵隊ヘリ部隊の合理性
 まあ、このバトルに首を突っ込む気はさらさらないが、元になった、いわゆるサヨクさんたちの話の出所は梅林宏道さんのこれです。

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在日米軍 (岩波新書): 梅林 宏道
 学習会用にはこれ。これでみなさん学習している。
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米軍再編―その狙いとは (岩波ブックレット): 梅林 宏道
 リーフレットは2006年で古いとはいえないけど、岩波のほうは2002年。
 で、現在の問題は、梅林さんの流布しているお話ではなく、有事シナリオにおける嘉手納の役割。
 で、話戻して、ほぉと思ったのは。

この状況設定が私個人の妄想と思われない為にも、アメリカ側が実際に想定した状況であることを新聞ソースで示しました。

 で、出てくるのが「沖縄海兵隊の戦闘部隊、米「移転困難」 (2005年6月30日 読売新聞)」という、読売新聞記事くらいしかないのか、というのが、ちょっとがっかり感。もう少し公開されているのではないかと思うのだがわからないので。そのあたり米側の資料が見えないときちんとした議論にならない。
 まあ、軍事に詳しい人なら読売のべた記事でもわかるというのもあるかもしれないが。
 今回のオブイェクトさんの記事で嘉手納の関連は想定されているのだけど。

なお台湾上空の防空戦闘は嘉手納基地の米空軍のF-15戦闘機が即応します。嘉手納の空軍戦闘機は海兵隊ヘリ部隊の援護は主任務ではなく、台湾軍の防空戦闘機部隊が敵の先制奇襲で壊滅した場合に即座に穴埋めする任務に飛び立つ必要がある為、時間単位での即応性が望まれる為に沖縄県外への配備は考えられません。

 つまり、この想定だと連携は、時間差の穴埋めということになる。
 まあ、これもそうかなとは思うのだけど、先日のスターズ&ストライプスの記事や他のリークだともう少し連携がありそう。そこがどうも見えてこない。
 あと。
 この議論の全構造が実は「辺野古」には結びつかない。しいて結びつくとすればシュワブの関連。
 個人的には辺野古でしかも沖につくると台風時にはまともなオペレーションができるとは思えない。
 私の推定でいうと、おそらくその有事シナリオのよくわからない部分でどの程度嘉手納統合案が否定されているかが問題で、岡田さんも折れたところをみるとかなりのものがありそうだということと、いずれにせよ、見える部分での有事シナリオならいざというとき用に普天間を残しておけばよいので、現行の訓練は他に移転できる。ただ、それだと普天間飛行場返還には見えないだろう。
 
追記
 ⇒中国の斬首戦略と台湾侵攻シナリオ

5年前に御自分で言及していた記事を、思い出せませんでしたか?

 うーん、屁理屈に聞こえるかもしれないし、そこで議論をするつもりもないんだけど。

で、出てくるのが「沖縄海兵隊の戦闘部隊、米「移転困難」 (2005年6月30日 読売新聞)」という、読売新聞記事くらいしかないのか、というのが、ちょっとがっかり感。

 というのは、オブイェクトさんの前回の記事へのがっかり感だったのだけど。

つまりfinalventさんは、読売新聞の記事以外で「中国が特殊部隊を用いて台湾に侵攻する」という状況設定について記したソースがあれば、がっかりしないという事になります。

 ええ、前回のオブイェクトさんの記事に今回の話が含まれていたら、ああまたそんな古い話かとは思うけどそんなにがっかりしなかったと思います。
 で、今回の記事だけどその記事については、極東ブログに書いた以上のことはないんで、オブイェクトさんが私のブログで学ばれているのだなんていうと怒られてしまうかもしれないけど、要点は、「そのあたり米側の資料が見えないときちんとした議論にならない」のとこで、米軍側の梅林さんがやったような米側の公開資料の存在なんですよ。なお、沖縄の基地に台湾有事が想定されているのはごく常識の範囲でいいと思います。
 それと故意かもしれないけど、嘉手納の連携はこのシナリオにないのかなというあたりに触れていただけたらと思うけど。
 Wendell Minnick氏の期限切れ2006年想定の元記事だけど、まあ老人惚けとか言われる私が読んだ限りでは、その連携がないのと、むしろ、このWendell Minnick氏の記事は海兵隊の言及もあるけどどちらかというと初動では空軍のほうを想定していて、広義に台湾有事だけど、有事シナリオの軍の動きとしては今回の普天間飛行場移設の文脈と違うのではないかと思う。というかもともと2006年想定で、現下のS&Sで仄めかされていた有事シナリオとは違うのではないかな。海兵隊の動きも想定されているけど、いわゆる海兵隊全体であって、在沖海兵隊リソースとの関連が曖昧で、そのあたりが、"Call in the US Marines?"の最後のクエスチョンマークの意味だと思うのだけど。(あと海兵隊の本隊は沖縄から撤去するのも前提ですよ。)
 
追記
 私への言及のようなのと、伝わらないもんだな感があるので。
 ⇒はてなブックマーク - 中国の斬首戦略と台湾侵攻シナリオ : 週刊オブイェクト

anigoka 爺にとって5年はキャッシュがクリアされるのに充分な期間でしょうw 2010/01/06

 元記事読むとよいと思うけど、2006年のシナリオの話だし、これは空軍シナリオなんですよ。

sionsuzukaze 軍事 反論3の3。この情報(中国の戦略)に関しては、現状進化はしていれど放棄はされてないだろうことは容易に想像がつく。米中とも必要なのは「いつでも対応可能」というオプション。情報の古さ=戦略の古さではない。 2010/01/05

 オブイェクトさんのこの話で前提になるのは、(1)在沖米軍に台湾有事想定がある、(2)斬首戦略、というだけで、そこは常識でも想定可能なそれほどたいした話ではないのですよ。軍事戦略としてこの文脈で重要なのは、(1)在沖海兵隊がどのように動くのか、(2)嘉手納空軍とどのような連携があるのか(それがなければ在沖海兵隊の意味がなくなるからね)、なのです。そして、私が忘れていたとかいわれるWendell Minnickの記事(http://www.atimes.com/atimes/China/FD10Ad02.html)だけど、これ、先の2点はクリアしているけど、むしろ在沖海兵隊の動きという点で現下の文脈とは逆になっているのですよ。つまり、この記事の話は、(1)台湾有事・斬首戦略に空軍が先行し、(2)「海兵隊も呼ぶだろうか?(疑問)」という内容なのです。だから、この記事で現下の説のソースとすると、実は、逆の結論が出て、在沖海兵隊は不要となるんです。で、おそらく現状、そのようなシナリオであるはずはない(在沖海兵隊の意義が十分あるはず)なので、まさに「情報の古さ=戦略の古さ」の例なのです。つまり、これソースに使える話じゃないんですよ。
 また、こうした公論。つまり軍事専門家による戦略の選定というのが現下の問題ではなくて、問題はまさにシビリアンコントロール側つまり文民側の問題なのです。問われているのは梅林宏道さんのような公開されシビリアンが考慮可能な議論のスタンスなのです。
 
Wendell Minnickの記事の該当部分

US military forces could respond in this scenario if so ordered. The question is, how committed is the US to Taiwan's defense? Given the speed of the Chinese attack, it is unlikely that US aircraft carriers would initially be involved, except for the USS Kitty Hawk. The closest US military support that could act quickly is only 20 minutes away in Okinawa.
 
Under the 5th Air Force based in Japan, Okinawa's Kadena Air Force Base has two fighter squadrons of F-15 Strike Eagle fighter aircraft (44th FS Vampires and 67th FS Fighting Cocks). In addition, the Misawa Air Base in Japan has two fighter squadrons of F-16 Falcon fighter aircraft (13th FS Panthers and 14th FS Samurais). The 7th Air Force in Korea has three squadrons of F-16s and the 11th Air Force in Alaska has three squadrons of F-15s and one squadron of F-16s.
 
Call in the US Marines?
The US Marine Corps is another potential thorn in China's side. Under the Marine Aircraft Group 12 in Iwakuni, Japan, the marines have three squadrons of F/A-18 Hornets, one squadron of EA-6B Prowlers, and one squadron of AV-8 Harrier fighter aircraft (Okinawa).
 
China has every reason to fear US air power. US pilots are far better trained than the Chinese. China has been lax in its training programs, so it would not be surprising to see TV images of Chinese aircraft plummeting to earth in flames. One can understand why China fervently hopes US military forces will be pulling out of South Korea and Japan.

 Wendell Minnick の記事では、このように、嘉手納の空軍が動いて、在沖海兵隊は"another potential thorn"の位置づけで岩国との連動になっている。
 これでは、在沖海兵隊による台湾有事・斬首戦略のソースにはならないのですよ。
 
補足:有事シナリオ
 あと、新聞ソースなんかでよければ、現在想定されている有事シナリオと在沖海兵隊については、昨年でより新しくかつ今回の民主党のぐだぐだで出て来た、東京新聞「日本有事の米作戦判明 『統合困難』一因か」(2009年11月19日)が近く、つまり、台湾有事・斬首戦略が在沖海兵隊の重要性というより、こういう話なんですよ。

 日本が武力侵攻される事態を想定して、米軍が沖縄の米空軍嘉手納基地(同県嘉手納町など)に航空機約八十機を追加し、また米海兵隊普天間飛行場宜野湾市)に三百機のヘリコプターを追加配備する有事作戦計画を立てていることが分かった。普天間飛行場の移設問題をめぐる日米の閣僚級作業部会で、米側は統合案をあらためて拒否したが、その軍事的な背景が明らかになった。

 これ、米側から有事にやってくるという想定。
 それと、これ、体制への遅延も想定されているという点で、台湾有事・斬首戦略というのと違うと思うのですよ。規模的にも。で、つまり、在沖海兵隊の意義はこのシナリオ側にあるはず。ただ、いやこれこそ台湾有事・斬首戦略なんだというのの解説があれば、それはそれで納得するのですが。
 在沖海兵隊の部分撤退と辺野古新基地というのは、現状に近い有事シナリオではこういう話が優先されているはずです。