それは違うんじゃないかな

 ⇒「漢方薬の保険適用除外はデマ」は悪質なデマ!医療現場から漢方薬が消える日[絵文録ことのは]2009/11/30

 たとえば「大建中湯」は腹部手術後のイレウス(腸閉塞・腸捻転)の予防・治療に使われているが、「医療用」と書いてあっても、薬局でも販売できる漢方薬である(ネット通販でも購入可)。これが使えなくなると、イレウスの予防・治療に有効な選択肢が一つ失われることになってしまう。→参照:「113)開腹手術後の腸閉塞を予防する大建中湯 - 「漢方がん治療」を考える」
 たとえば「半夏瀉心湯」は抗ガン剤「イリノテカン」(商品名は「カンプト」または「トポテシン」)の副作用としての重篤な下痢に有効である。しかし、これも薬局で売っているメジャーな漢方薬だ。これが使えないとなると、ガン治療に有効とわかっており、実際に多く使われている方法の一つが奪われるのである。→参照:治癒力を引き出す がん漢方講座 第18話 下痢を改善する漢方治療:がんサポート情報センター

・「大建中湯」:「腹部手術後のイレウス(腸閉塞・腸捻転)の予防・治療」
・「半夏瀉心湯」:抗ガン剤「イリノテカン」の副作用としての重篤な下痢に有効
 だけど、二重盲検ランダム化比較試験で有用性はわかっていないし、厳密には、保険適用エキス剤の効能・効果にも逸脱しているのではないかな。
 また、記事参照を読んでも、有効性の記事ではないようだが。
 「半夏瀉心湯」については特に⇒http://www.jsom.or.jp/html/ebm_er/11-09.pdf

CPT-11 を用いた化学療法を行う上で問題となる下痢に対して、半夏瀉心湯の併用が有効であることを示した臨床研究である。本研究デザインは対照としてプラセボが設定されておらず、二重盲検法ではない。漢方薬を対照薬とした比較試験は漢方薬特有の剤型や臭いにより、プラセボを作ることは難しいが、より質の高い研究にするために二重盲検法も考慮される。

 ということで、二重盲検法で有効性は確立されていないはず。
 「これが使えないとなると、ガン治療に有効とわかっており、実際に多く使われている方法の一つが奪われるのである。」という表現は正しいとは思えないが。
 これらの漢方は入手しやすい市販薬でもあり、医師との相談で併用してよいかは決めてもよいとは思うが、「ガン治療に有効」な方法とはまったく異なると思うし、国が補助する根拠は曖昧だと思うが。
 
追記
 レスのようなコメをもらったが⇒はてなブックマーク - それは違うんじゃないかな - finalventの日記

matsunaga 妄言も甚だしい finalvent氏は医療関係については(以前のマスクについても)まったく見当はずれもいいところ。漢方薬は現在エビデンスが収集されつつある。まあ、爺が死にかけようと「お前には漢方薬は使わない」でいいんだけどさ。 2009/12/01

 ちょっと感情的になっておられるようなのでなんだが、「漢方薬は現在エビデンスが収集されつつある」とのことだが、他の医薬品と同等の科学的な基準で達成されたら、それを国が認可して使ったらよいよということであって、現状では、医薬品の認可基準として見ると「漢方薬」は問題があるという指摘なのだが。また、私が漢方薬を使うか使わないかは、市販薬なんだから自分で医師と相談して決めればいいだけの問題で、市販薬のしかも二類の市販薬で「死にかけようと」というほどの、医療上の重要性はないと思うのだが。あれば、標準医療として確立されるようにすればよいだけだし。
 あと、私の「医療関係」うんぬんだが、マスクとかの話でもそうだが、基本的にソースを明示しているので、「まったく見当はずれもいいところ」とはならんと思うのだが。というか、ソースの評価の問題であって、"finalvent氏は"という属人的な話題ではないのだが。
 
追記
 ちょっと一般論なんだが、「漢方薬エビデンス」というのがどうも一人歩きしているように思える。漢方薬によっては、二重盲検ランダム化比較試験を満たすものがあるけど、それは、適用が明確化されてのことであって、つまり、何に対しての有効性かということになる。
 で、その場合、漢方薬を生み出した漢方という古代医学の体系とは分離されてしまうし、現代医学というか科学の立場からはしかたがない。というか、漢方という古代医学の体系が科学的に立証されるということは独立の問題。
 別の言い方をすると、「古代医学の薬があって、これってこんなふうに使っていたけど、現代のこういう症例でも使えそう」というだけのことで、それが漢方であるかどうかはまったく議論から疎外されて初めて科学たり得る。つまり、ある毛虫の糞が肺癌に効くかもしれないというケースと同じで、特段に「漢方」の問題ではない。
 
追記
 ブコメを見ていてちょっと思ったけど、まあ、個別に指摘することでもないのでざっくり言うと、「漢方薬」でも二重盲検ランダム化比較試験はできますよ。ちゃんと成果の出るものもあるし、出ないものもある。問題はだから、基準ということです。そこをgdgdにしちゃだめですよ。同じことの繰り返しだけど、ようするに日本の「漢方薬」は、伝統漢方医の診断から切り離された薬草主体のエキス剤の市販薬でしかないのから、市販薬の統一基準にまとめたらというのと、その統一化された市販薬をどう国が補助するのかということなんですよ。