日経春秋 春秋(8/23)

 「蝶々(ちょうちょう)」「蛍の光」「むすんでひらいて」の旋律は誰でも口ずさめる。日本人に歌いやすい西洋の民謡を選んで、明治14年に「小学唱歌集」が編さんされたからだ。お雇い外国人だった米国の音楽教師ルーサー・メーソンの労作である。▼洋楽のドレミファは日本の伝統的な音階とは違う。子供たちはファとシの音程が、なかなか取れなかったという。耳を鍛えるために、メーソンは米国から最新のピアノを輸入した。伴奏に合わせて歌えば、楽しく西洋の音感が身につくと考えたのだろう。現在も愛され続ける唱歌集の曲を支えた楽器の力は大きい。

 あまり指摘されているのを見たことはないが日本の国歌「君が代」だが
 ⇒国旗及び国歌に関する法律
 見るとわかるように、ピアノ譜として記載されている。
 君が代というのは一見和楽のように聞こえるしそう意図もされているのだが、国歌としてはピアノを前提にしたもので、天皇が公式には洋服しか着ないのと類似の明治時代の近代化をきちんと引き継いでいる。
 こういうのは右派左派が馬鹿騒ぎする「ナショナリズム」というのはちょっと違った何かだろうと思うが。