朝日社説 asahi.com(朝日新聞社):社説 2009年8月9日(日)09総選挙・農業再建―減反見直しからの出発

 世界市場での穀物高騰は経済危機で鎮まったが、新興国の経済成長や人口増を考えれば、再燃する可能性もある。その時に頼りになるのは国内農業だ。しかし、今のままでは立て直しの機会すら失いかねない。

 なんか基本的な勘違いがありそう。問題はプライスだけだと思うが。

 生産調整で米価を維持し、農家の収入を確保する目的だ。貿易交渉でコメ関税の大幅引き下げを受け入れず、海外諸国から批判にさらされているのも減反による米価維持策が原因である。
 こうした政策は、高いコメを買わされる消費者の負担の上に成り立ち、農林族議員と農協、農林水産省の利権維持に役立った。だが、コメの需要はますます減り、国内農業を守るはずの減反・米価維持策が、目的とは反対の役割を演じてしまっている。
 縮小均衡のコメ政策では未来を描けない。農業の将来を考えるなら一刻も早く減反をやめ、農業を成長産業に変える道に踏み出すべきである。

 この問題の解答テンプレなのだが、「農業を成長産業に変える道」に矛盾があって、解答にならないのだよ。

 生産と輸入の自由化を進めれば、米価は下がる。その場合、欧米のように農家経営を戸別所得補償で支えればいい。納税者負担は増えるが、消費者には喜ばれ、農家の生産意欲は高まる。

 これは「農家の生産意欲は高まる」ではなく、事実上国政の被害者への補償というくらい。

 この問題を巡る自民党民主党の違いは鮮明だ。自民は「生産調整を堅持する」(谷津義男・党総合農政調査会長)とし、民主は「減反廃止をめざす」(筒井信隆ネクス農水相)。
 民主党はコメを販売する農家への戸別所得補償制度の創設案も打ち出した。2年前の参院選で、農業票目当ての「バラマキ」との批判も浴びた政策だ。だが今回は、将来の減反廃止をにらんだ工夫の跡がある。生産調整に参加しない農家には所得補償をしない代わり、自由にコメを作る権利を認めるという「減反選択制」だ。

 これ朝日はわかって書いているのかもしれないけど、民主党それが七転八倒にぶれたわけですよ。「違いが鮮明だ」じゃなくて、民主党のほうが無策になってしまった。純粋なバラマキをやることになる。
 これね⇒日米FTAについて民主党の七転八倒: 極東ブログ
 話戻して。

 改革志向が明確であるにもかかわらず民主党案の問題点は、所得補償の対象を競争力の乏しい零細農家にまで広げてしまったことだ。このため毎年度の必要予算額は1兆円に膨らんだ。

 そこが逆で、そもそも「所得補償の対象を競争力の乏しい零細農家」にある、いや、実際上はということ。
 農政の利権を見ていると、これに近い郵政を叩いた小泉さんはものすごかったなと思う。ただ、違う問題といえば違う問題で、小泉さんも農政はタッチしなかった。
 まあ、この問題、民主党はダメだよという結論は出てしまったかだが、小沢さんはこういうころ譲らないなあ。ある程度票を読んでやっているのだろうから、党を割る気はないというか、布石の意味もあるだろうが。結果的にいつも悪役を買う。