曇り

 人生は不思議だなと思うことが多くなった。自分はいつまでも少年のときの記憶というのでもないが、意識が抜けず、あのままでいつか自分が死ぬこと老いることを不安というか、時空を超えて思っていたが、今はその向こう側に辿り着きつつ、その少年の自分がうまく完了できない。今月日蝕が来る。この日を私は小学生のころから知っていた。21世紀になり、自分が50歳を超えるのかと不思議に思ったものだった。夢は。名古屋の奥地というか、ちょっと小高い山の地方を旅している。いろいろな思いが交錯する。露天風呂のようなところでじっとしていると、高校生くらいの少女が入ってくる。私は夢では40代くらいのおっさんなので、困ったことになったと思う。見るわけにもいかないが、気づかれずに入って来るのも困るので、あー、入っているが、みたいなことを言うと、少女はかまいませんと言ってつかつかと湯に入ってきて、私の右横、といっても50cmくらい離れたところに座っている。横をさっとだけ見るといわゆる美少女で、少し胸元を見ると大きな乳房がある。まいったな。私はそういう趣味はないのだと思いつつ。しばしじっとして、何気なく湯を出る。そういえばその少女は旅館の少女で、私は今夜の東京行きの急行のことを聞いていたのだった。もうないから泊まるというものだった。湯に入るまえには、私は自転車を借りて山々の澄み渡る光景を見ていた。昭和30年代から40年代的な風物が多かった。