人間関係をスムースにするための名言10

 世の中、包茎や貧乳、借金、不治の病といろいろな悩みがあると思いますが、人間関係の悩みはかなり切実でつらいものだと思います。
 「生きづらい時代のための名言」を90集めた、 中務 哲郎・大西 英文著『ギリシア人ローマ人のことば - 愛・希望・運命』 (岩波ジュニア新書 107)にも、「人間関係・コミュニケーション」について大きく参考になる言葉があります。
 その中でも、人間関係を円滑にするために具体的に役に立ちそうな名言を10、ピックアップしてみました。どれもすぐに役に立ちそうなものばかりです。

隣人は隣人に悋気し、焼き物師は焼き物師にもちをやく(ヘシオドス)

 悋気というのは、あれです、悋気応変というように、いつでも誰でもどんなとときでも、人が妬ましいという、まいどお馴染みの人間関係の薬味です。ネットのシーンでいうと、ブロガーはアルファブロガーに嫉妬し、ブコメーはネガコメ5の悪口を増田に書くといった感じでしょう。

万河の流れをひとつとしても、血にけがれた手を浄めはできぬ(アイスキュロス

 鯵や烏賊をさばくと手が生臭くなって、オメーなあとか言われたり、オナニー後のティッシュは栗の花の香りがして、どうよと言われたり、卑近な人間関係もですが、政界でも違法献金に手を染めると浄めるのは難儀なものです。

人はみな己から逃れようとするが……(ルクティウス)

 この先はこう続きます、「実際、己を逃げおおすことなどとうていできるはずもなく、心ならずもその己に縛められ、その己を人は憎みつづけるのだ」、ぐふぇ、非モテのオレめっちゃ自己嫌悪という感じですが、自分を憎んでいるうちはまだ社会に無害だけど、なにかと世間やネットを憎み続けているというのはいかがなものかと……いやそうでもないか、ルクティウスの言葉はさらにこう続く、「病みつつ己の病の因を知らないために」と。そう自己嫌悪こそ病の因。匿名で他人を攻撃することは健康の因です。

わたしは人間である(テレンティウス)

 んなの見りゃわかるだろ、あほかテレンティウスっていうか、というような低次元に続く愉快な話ではぜんぜんなくて、"Homo sum"という普通に欧米の教養人なら知っているラテン語の名言ってやつです。こう続きます。"Humani nil a me alienum puto"。つまり、「人間に関することで、わたしに無縁なものはなにひとつない」。どこまでを人間と見るかというのが現代の現実的な悲惨な問題であって、人間関係にも浸蝕されてくるポストモダンな思想的な課題です、なわけねーよ。

弓を使うときは引きしぼるが、使わぬときはゆるめておくもの(ヘロドトス

 離婚経験者なら相方の対応から学ぶことで、やっぱヘロドトスや読んでおくべきだったでしょ的な人間関係の根源を示す言葉でもあり、これから本格的な夏を迎え、「おしぼりをつかうときはふつう手を拭くが、顔だってふいちゃうのはおじさん」と現代的な解釈もできます。

神様が定めた不文の法を、人間であるあなたにふみじれるわけがありません(ソポクレス)

 最近では鳩山元総務相が麻生総理との別れで述べたと言われる名言。人間関係を決めているのは、神様が定めた不文の法なのである。書いてないことを読んじゃうマンはいかなるときでも正義なのだ。ってなやつを人間関係で扱うのはひどい難儀ものです。

賢者はいつも自分自身の中に富を持っている(パエドルス)

 これはオーバードクターなら食うに困らないという意味ではぜんぜんない。パエドルスの言葉は現代では逆に解釈したほうがわかりやすい、つまり、「ゼニにならない知識なんかもっていても阿呆」ということ。いや、そんなものですかいな。別バージョンで、賢者はいつもポケットの中にノンラバーを持っている、というのもあります。

正義を守っている人も、不正を働く力がないから守っているにすぎない(プラトン

 誰でも不正ができる力があれば不正をやっちゃうものだということでもあり、世の中の、特にカネの臭いのするごみ箱を開けてみると、この手の者はうんざりつまっている。まあ、へなちょこは正義を守っているほうがいいでしょう。助けて、無防備マン

人間、食べろ、生きろ、といわれて嫌な気がする者は一人もいない(ペトロニウス

 残念だったな、ペトロニウス現代日本では、食べろ、生きろ、といわれたら嫌な気がする者は五万といる。エントリ書いてみ。ブコメ20個は固い。と、反面教師的な格言のようですが、これは、現代では物は言い方というか、言えば角が立つ、反論ばっかり釣れるの類で、現代でも、無言で、まあ食え、生きろよとさりげなく行為をしてくる人は好かれるもの、リアルの場合ですが。

教育の根は苦いが、その実は甘い(アリストテレス

 若い時に「出社が楽しい経済学」「経済は感情で動く」くらい読んでおくと、人生、うへぇ思わぬしょっぱいすっぱいというチャンスは減るもの。この手の本を読むのが苦いか、結果が甘いというわけでもなく、現代っていうのはギリシア・ローマの時代じゃないからね。

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ギリシア人ローマ人のことば―愛・希望・運命 (岩波ジュニア新書 107): 中務 哲郎, 大西 英文
 
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