毎日社説 社説:水俣病特措法 幕引きの立法はやめよ - 毎日jp(毎日新聞)

 与党と民主党がそれぞれ、国会に提出している特措法案の共通点は、被害者に一時金や療養費などを支給するというもので、95年の政治解決の第2弾という色彩が強い。これまでの修正協議では、与党が支給対象を具体的に例示する民主党案に歩み寄っている。与党は、法的な救済の根拠になっている公害健康被害補償法(公健法)に基づく地域指定を救済終了時点で解除する条項を民主党の要求で外すことにも柔軟な姿勢をみせている。
 ただ、民主党が見直しを求めている、チッソを事業継続会社と補償実施・公的債務返済会社に分離する案は堅持の姿勢だ。事業会社の株式売却益をその財源に充当することができなくなるためと説明している。
 特措法と公健法を結びつけることは、公害被害の幅広い救済の観点からみて筋が通らない。日本弁護士連合会が先ごろ提案した「水俣病被害者の補償に関する特別措置法」要綱案でも、公健法上の救済との両立が打ち出されている。地域が解除され、チッソの分社化後、補償会社が清算されてしまえば、日本の公害の原点でもある水俣病問題の幕引きともなりかねない。被害者団体の中に今回の特措法に強い反対論があるのは、これまで司法の場で明確にされてきた企業、行政の責任に終止符が打たれることへの意思表示でもある。

 メモ。
 チッソ問題は皇室問題でもあるのかな。