産経社説 【主張】卑弥呼の墓 歴史と科学のよき関係を - MSN産経ニュース

 NHK7でも見たが、ばかばかしい話だ。いや、考古学がばかばかしいというのではなく、卑弥呼の墓という議論が。卑弥呼に特定するには墓碑がでなくてはならない。出るわけもないだろう。であれば、卑弥呼の墓であるとするに妥当な条件が問われなければならないが、東夷条における没年の類似性だけだ。まあ、王権として当時最大であり、没年が近ければそうだと思いたくはなるだろうが。

 邪馬台国の所在地論争に決着がつくなら、専門家ならずとも大きな話題だが、ここは「少し冷静に」と呼びかけたい。科学的なデータは百パーセント正しいとは限らないからだ。サンプルの取り方や、測定方法によって誤差が生じることもある。さらなる蓄積を待ち、専門家がじっくりと議論して結論を出しても遅くはない。
 というのも、考古学の世界では9年前、前期・中期旧石器の遺跡と遺物が捏造(ねつぞう)された苦い経験がある。教科書は書き直され、国の史跡は解除された。人為的な事件だったが、互いに検証することを怠り、捏造を見抜けなかった関係者の責任は小さくない。
 考古学に自然科学の「目」を持ち込むことは有意義だ。だが、先端科学と考古学はもともとなじみにくい部分を持った学問である。科学的データに対し、考古学者は口をさしはさみにくい雰囲気もある。互いに議論を尽くし、2つの学問の「よき関係」を作り上げる努力をすべきである。

 このあたりの話は、考古学プロパーは泣いちゃうところだろうな。