朝日社説 政治資金規正法―これで「公開」と言えるか

 おお、これは挑戦的な社説だ。

 準大手ゼネコン、西松建設の違法献金事件で秘書が逮捕された民主党の小沢代表は「私はみなさんからの浄財をすべて公開している」と言い、やましいところはないと胸を張る。
 看板に偽りはありやなしや。その一端をパソコンでのぞいてみよう。
 まず、総務省のホームページで「白書・報告書」→「政治資金収支報告書」→「平成19年9月14日公表」と進む。「資金管理団体」の項目で「リ」を開けば小沢氏の「陸山会」がある。この29ページ目に、検察が西松建設のダミーだと容疑を向ける「新政治問題研究会」の100万円の寄付が出てくる。
 このページには計約1億円の寄付が並ぶが、その100万円以外はすべて民主党本部と、小沢氏が代表である岩手県第4区総支部小沢一郎東京後援会、小沢一郎政経研究会からのもの。名前だけでどんな団体か分かりにくいのは「新政治問題研究会」だけだ。
 それなのに、その正体はせんさくしないし、知らなかったという小沢氏の説明が不思議に思えてくる。

 で、なにか問題でも?

 ただ、政治家の財布をすべて調べようと思ったら、いくつもある政治団体の名前や報告先、公表の日付など相当の予備知識が必要だし、手間もかかる。国民がその全容を知りたいと思ってもなかなか厄介なのが現状だ。

 で、朝日様はいったい何をお調べになりたいかと。
 政治資金規正法というのは、その団体の実体性だけを問うのであって、迂回献金かどうかを調べることを政治家に義務づけていないのだが、そんなことも朝日様はご存じないと。
 政治資金規正法ザル法なのは、小沢を血祭りにせずに自民党の慣例を見ても新聞記者ならご存じのはずでは。
 それに調べるなら入金の側ではなく支出のほうでしょう、新聞記者なら。特に、今回のケースの出口は、斡旋利得法になりそうなので、だとすると同法の「財産上の利益」が見えるのは支出なのだから。わかってる?

 企業や団体からの政治献金は、政官業の癒着や腐敗の温床になりがちだ。だが、検察の捜査には証拠や時効の壁がある。一罰百戒とならざるを得ない場合もあるだろうし、そこに不公平感がつきまとう場合もあるだろう。報道機関の取材にも限界はある。

 朝日様も「一罰百戒」を言い出すまでになりましたか(遠い目)。そしてその一罰は、最大野党の党首が最適だというわけですか。
 「報道機関の取材にも限界はある」ですか、ほぉ、「名前だけでどんな団体か分かりにくいのは」とあるけど、御社のデータベースで「新政治問題研究会」を検索するくらいのことはできるのでは。

 であれば、ここは主権者である国民自身の出番ではないか。政治資金規正法による公開制度は一朝一夕にできたわけではない。不正が発覚するたび、世論が政党や政治家の尻をたたくようにして、少しずつ前に進んできたものだ。国民が日々、政党や政治家を監視するためにさらに活用されていい。

 お戯れを。国民の出番というなら、今こそ検察の暴走とマスコミの暴走を監視するときですよ。
 そして政治資金規正法ザル法なのだから、立法を通してそれを改善していくのがスジですよ。