朝日社説 オバマ氏当選―米国刷新への熱い期待 : asahi.com(朝日新聞社):社説

 米国を変えたい。刷新したい。
 米国民のこうした思いが、一気に噴き出したような選挙だった。

 私は今回の選挙では初期の時点でオバマが勝つと思っていたし、それでよいと思っていた。それはそれとして。
 朝日のこれが「思い」ではないだろう。根にあるのは世代間闘争だ。これから米国はベイビーブーマーを抑制しないといけない。ベイビーブーマーはベイビーブーマーで今回の金融危機で慌てふためいてばらまき民主党に流れ込んだ。つまりここに本質的な矛盾を胚胎することになった。

 「強い米国」を掲げて軍事力を強化し、「小さな政府」路線を進めたレーガン政権以来、30年近くにおよぶ新自由主義の挫折といっていいだろう。ブッシュ時代に露呈したその失敗は、共和党支持者をも失望させ、マケイン候補の大敗につながった。

 これが微妙だ。しかし、たぶんこうした言説がまた伝説化していくのだろう。軍事力は相対的総合的に低下した面がある。新自由主義というが、サブプライムローンの一つの根のCRAはクリントンが推進したものだった(CRAが金融危機の原因というわけではない)。また金融危機の根幹が新自由主義とやらににあったかはもうしばらく歴史の推移を見た方がよい。悲惨な光景を見るかもしれないが。

 「政府には果たすべき役割がある」と強調し、イラク戦争を批判したオバマ氏は、米国民の異議申し立てを鮮やかに代弁してみせた。

 これはほとんど嘘に近い。私はイラク撤兵に至る議会をワッチしてきた。もしそうなら議会は予算を止めるはずだ。そうではなかった。そしてイラク戦争を事実上安定に推進したのはマケイン上院議員の功績だったと言っていいと思う。おそらく共和党はそのことでマケインの名誉として譲歩したのだろう。あるいは、ブッシュの時のローブの汚いマケイン潰しに恥じたのだろう。オバマイラク撤退を言えるのはその意味ではマケインの功績であったかもしれない。

「強い米国」による一極支配の時代は、軍事と経済の両面で終わりを迎えている。米国が超大国であることは変わらないが、イラクアフガニスタンはもはや一国では手に負えない。巨額の資金が一瞬のうちに世界を駆けめぐる金融市場の規模とスピードには、グローバルに対応するしかない。

 このボケがと放言しそうになる。米国の軍事も経済も終わりを迎えていない。一極支配の時代についていえば、日本・中国・サウジ・英国、そして豪独仏がどう支えるかという構造になっていて、すでに米国だけの問題ではない。「イラクアフガニスタンはもはや一国では手に負えない」というとき日本の立ち位置がどう問われるか朝日社説子の脳裏にはないのかもしれない。