朝日社説 テロ指定解除―核放棄の流れを止めるな : asahi.com(朝日新聞社):社説

 これは朝日的にはブッシュ政権を褒めざるを得ないはずでどんな修辞かなと見ていくと、「ライス」は出てくるが「ブッシュ」は出て来ない。嫌いという子供じみた心理のように思える。
 ブッシュ政権の外交は、後期についてはイラク政策も北朝鮮政策も、いやむしろイスラエル問題へこそもだが、一つのドクトリンというかポリシー(現実主義)があり、朝日のようにこの側面だけしぶしぶのように評価するのは滑稽な感じはする。
 変なとばっちりを受けるのもいやだが、北朝鮮問題では、日本人の大衆心理としては、拉致問題が露呈したことが大きかった。偽悪的な言い方だが、拉致問題を露呈させずに済ませたい勢力は広範囲に存在した。これを明るみに出したのは小泉であり、これは漫画家の江川達也がそれだけは功績だと言っていたが、そこに奇妙なものはある。ただ、小泉はおそらく拉致者を穏和に北朝鮮に帰すはずだった。それをくじいたのは安倍だったと言っていいだろう。小泉と安倍へのバッシングにはいろいろと重層性があるがそれでも、この流れへの怨念のコアのようなものはあったのではないかという感じがするし、私などもこの一連と誤解されてとばっちりを受けた。私がこの問題で小泉とも安倍とも違った考えをしていることを理解してくれている人はいたが、そういう人はあまり騒がない。
 小泉と安倍のこの路線だが、小泉の当初の案はそうだとして、安倍だが、彼はそう言われているほど右傾化ではなかったというか、彼の靖国の対応でも中国の対応でもそうだが、むしろ福田などに近い。というか福田はその路線にあった。その部分でも安倍はきちんと評価はされなかったし、悪い言い方だが、政治家としての器に問題がありすぎた。麻生を見ていると器だけはでかいなと思う。
 小泉と安倍のこの路線は、しかし、反対勢力が攻撃するのはしかたないというか、なにか別の陰謀めいた線のなかで利用されていたように見える。端的に言えばMDの関連だろう。
 今回のテロ指定解除は朝日や中国が望むような意味合いより、もう少し別の意味合いがあるだろう。中国はわかっているが、朝日までそこがわかっているかは微妙なズレはあるかもしれない。というか、北京はけっこう本気になってきているので、宣撫的なところは捨象しつつある印象がある。