朝日社説 世界の株安―資本注入へと踏み出せ : asahi.com(朝日新聞社):社説

 日本銀行白川方明総裁はおとといの記者会見で、当時の教訓として「銀行の資本不足の解決なくして、景気回復はない」と振り返った。
 危機に直面している欧米諸国が、まず金融システムを守り、貸し渋りを防いで、金融収縮と景気後退の複合を食い止める。そのために公的資金の投入へ大胆に踏み出す――。これがいま最優先で取り組むべきことだ。

 白川さんの認識と朝日の敷衍には微妙な差がある。この差をどう読むか考えるかが難しい。ちょっとずさんにいうと問題は欧州の銀行にあり、この銀行はある意味で処罰されなくてはならない部分がある。そこをネグってしまうという選択もあるのだが、その選択レベルがEUなのか国家なのか。いや、EUだし資本注入しなければならないのだが、むしろそこで「国家」が奇妙な形で残される。そしてこの国家というのは欧州型の国家だ。その陰影の見方がむずかしい。
 結果としては資本注入ということになりそうだというのは、わからないではない。ただ、この手の問題を新聞社説で扱うときの奇妙なズレ感はある。
 若干面食らったのは。

 90年代の日本がバブル崩壊による不況に苦しんだとき、「複合不況」とよばれた。不良債権で窮地に立った銀行が企業に対して貸し渋り貸しはがしに走ったことで不況が進み、それがまた不良債権を増やす。金融危機と需要減退が複合し、そうした悪循環が不況を深めていった。
 この複合不況が、これから欧米を震源に世界的な規模で押し寄せてくる。株安はその予兆ではなかろうか。

 懐かしいなと思う。これだ。
 ⇒「 複合不況―ポスト・バブルの処方箋を求めて (中公新書): 宮崎 義一: 本」
 今みると92年だった。ついこないだのような気がするがけっこうな時が過ぎた。アマゾンをみると星が5ついていて、あれ?と思ったがレビューは一つのみ。私はこの本は間違っていると思っているし、概ねそういう評価に終わっていたと思っていた。もっとも、どう間違っているかをきちんと論駁できるだけの知力があるわけではないが。というあたりで、今朝のこの朝日の社説をみてあれれと思ったわけだ。