なんとなくだけど

 山本七平の戦記物読むと、戦争なんてやだなあ、うへーと思うのだが、そういう山本がなぜか右派・右翼扱いで、よって、その戦記物とかも広くは読まれない感じはする。
 左翼は歴史学は好きだがというか歴史学というのが左翼っぽいのかもしれないが、歴史のナマ資料はけっこう微妙なものがあり、その微妙さのなかで、戦争ってやだなという思いが伝わる部分がある。もっともそうでもない部分もあるから歴史学的にフィルターしちゃいたいのだろうと思うけど。
 戦争なんてネタにもなんないと思うけど、ネタにする人はいるし、現実の国家間の政治ではそういうのがまかりとおる。それ以前に、私が好戦的な人間に見られもする。
 なんというのか生活者の次元での戦争や平和へのリアリティというのがないなとも思うが、そういうのもまた両義的ではあるのだろう。
 私は自分は団塊世代より後で、もうバリバリの戦後の人だと思っていたが、さすがに50歳にもなって老に入りつつあり、してみると、戦争の臭いのようなものがまだかげた世代になる。
 人類というのは戦争を知らない世代がまた繰り返すものかなと思うし、そういうだけのことでもないだろうと思う。
 山本は自身はさすがに人肉は食わなかったと思うが、死んだ兵士の最期米は食ったようだ。ああいうものを食って生きた人間に、戦後の復興なんて幻だっただろうな。