毎日社説 社説:イラク空自違憲 あいまいな説明は許されない - 毎日jp(毎日新聞)

 これも少し細かく見ていこう。

判決はまず、バグダッドで米軍などと武装勢力との間で激しい武力衝突が起きていることを指摘し、特措法でいう「戦闘地域」にあたると認定した。そのうえで、「多国籍軍武装兵員を戦闘地域であるバグダッドに空輸する活動は、他国による武力行使と一体化した行動で、武力行使を行ったとの評価を受けざるを得ない」とした。

 これは正しい。

 政府と同じ憲法解釈で特措法を合憲としたとしても、活動を「非戦闘地域」に限定した特措法と、武力行使を禁じた憲法9条に違反するとの判断である。

 これも正しい。ただし、憲法9条に違反はバグダッドへの武装兵員の空輸。

 重要なのは、判決がイラク国内の紛争は多国籍軍武装勢力による「国際的な武力紛争」であるとの判断に基づき、バグダッドを「戦闘地域」と認定したことだ。政府がイラクでの自衛隊の活動を合憲だと主張してきた根拠を根底から覆すものだからだ。

 ここに論理飛躍。

 さらに、判決が輸送対象を「武装兵員」と認定したことも注目に値する。政府はこれまで、空自の具体的な輸送人員・物資の内容を明らかにしてこなかった。小泉首相は、当時の記者会見で「空自による物資の輸送はしている。しかし、どんな活動をしているかは部隊の安全の面があり、公表できない部分もある」と述べていた。

 この指摘は微妙。今回の判断では、むしろ自衛隊の海外派遣を認めることになっており、その際の自衛隊員の自衛については論理的に含まざるをえず、それは武装兵員ともなりうる。問題はよって武装兵員ではなく戦闘地域の認定になる。ここで難しいのはそもそも自衛隊が派遣されるというのは民間とは違うので安全地域ではない。安全地域と非戦闘地域の判定は難しい。