朝日社説 集団自決判決 司法も認めた軍の関与 : asahi.com:朝日新聞社説

 これはつまらない右翼左翼的なフレームに落とし込まれるので、発言する気も萎えるのだが、「司法も認めた軍の関与」ではなく、日本社会の歴史認識として「軍の関与」があると見るのは妥当なので、それを覆そうということを司法の場に問うのは適切ではない、ということだと思う。

 判決はこう指摘して、「集団自決には日本軍が深くかかわったと認められる」と述べた。そのうえで、「命令があったと信じるには相当な理由があった」と結論づけた。

 朝日の文脈がやや強いが、大局的に見て沖縄の集団自決に日本軍の関与がないと言い得るはずはなく、そして、「命令があったと信じるには相当な理由があった」の「信じる」については、ごく普通の日常の他者理解の延長にある。ただ、そのことが歴史研究としてどのように妥当かということは方法論によるだろうし、それはそれなりに学問の自由の問題でもあるだろう。
 私自身は沖縄生活でもう少しこの実態の機微を知っている。真相を知っているみたいなことを言うつもりはないし、真相と一般に思われているようなフレームとは違う。この機微の部分は、率直に言って、伝えることがとても難しい。私はその点では沖縄の古老の声を聞きながら同化してしまったし、しかたがないと思う。