日経社説 世界のマネー変調、日本株の下げ目立つ : NIKKEI NET(日経ネット):社説・春秋−日本経済新聞の社説、1面コラムの春秋

 サブプライム問題で資本不足に陥った米欧の巨大金融機関に救いの手を差しのべたのは、中東産油国シンガポール、中国の政府系ファンドだ。いま巨額の資金の出し手になれるのはどこか。投資マネーの世界地図の変化を象徴する動きである。

 というより産油国や華僑、中共マネーがどれだけ米国に依存しているかということで、実は日本と同じ構図だった。そして日本はむしろこれを先行してやっていたにすぎない。それらが利益を生み出し、米国をブーストしていた。
 日本人については端的に、だから、偽善者とすら言えるだろうし、そう見られかねない。小泉の滑稽なピエロはその慧眼を覆ったし、それは偽善者日本の利益になっていた。

 新興国マネーにも支えられて米国の市場は一息ついた。ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は史上最高値圏にある。対照的に主要国の中で最も停滞が目立つのが日本の株価だ。28日の大納会日経平均株価終値は、昨年末終値を11%も下回った。日経平均は夏場から下落に転じたが、売買の過半を占める外国人投資家は8月以降もっぱら売り越して、下げを主導した。

 サブプライム問題よりというかその問題はすでに本質的には終わっている。ここまで世界金融がこういう構造になっていたかというのはバーナンキすら疾走させたが、それでも大筋では終わりが見える。むしろ、副作用のインフレが見えるし、上が実際には巨大な問題の寝息を立ている。
 そう思うとき、ああ私は気が違ってしまったのかもしれないと自分を思う。そしてもし私を気違いと指さす人がいるなら、不幸な未来においてなお私が嘲笑されている世界を好ましいと思う。