今日の増田

 ⇒吉行淳之介

やっぱり彼は長編より短編ですね。『暗室』とかは若造のおいらにゃ読むにたえない。

 まあ、そうとも言えるかも。「暗室」はまあエロとも言えないこともないが、最終部に至る男と女の意識の亀裂と、セックスの意味の分離というか。テーマ的には「砂の上の植物群」の最終で父の亡霊が出てくるあの感覚。そして「夕暮まで」では「暗室」と「砂の上の植物群」のパスティッシュ的な脱構築がある。
 若造にはわからないとは言える。
 女にモテたつもりのブイブイした中年にも本当にはわからない。
 というか、吉行の文学は喘息持ちでないとわからない部分がある。
 というか、吉行の文学は大人の文学でも男の文学でもない、子供の文学というか、恐怖におののく子供のままの心性がベースにある。