難しいダルフール情勢
NHKの報道にやや疑問をもつのであえて全文引用しておく。
⇒ダルフール 政府側が停戦宣言 : NHKニュース
ダルフール紛争の和平協議は、国連やアフリカ連合の仲介で27日から北アフリカのリビアで始まり、ダルフールの7つの反政府勢力とスーダン政府の代表団などが出席しています。この席で、スーダンのナフィー大統領顧問は「スーダン政府はバシル大統領の決断により、ダルフールでの停戦を宣言する」と述べるとともに、反政府勢力側から攻撃されないかぎり停戦を続ける考えを明らかにしました。これに対して、和平協議に参加した反政府勢力の代表は「政府の真剣さを見極めたい。以前のように政府が停戦を破らないよう条件を詰めていきたい」と述べて、今後の協議で内容を詰めていく考えを明らかにしました。ダルフールの反政府勢力は10以上のグループに分裂し、今回の協議に参加したのは比較的規模の小さなグループで、勢力の大きなグループは参加を見合わせています。このため、スーダン政府による停戦宣言を軸に実効性のある和平を実現するには、協議に欠席している反政府勢力を交渉のテーブルにつかせられるかどうかが焦点になります。和平協議は、来年、本格的に展開する国連の平和維持部隊の活動の成否にも大きな影響を与えるものになります。
間違いではないのだが、どうもスーダンよりのトーンを感じる。
特に「スーダン政府による停戦宣言を軸に実効性のある和平を実現するには、協議に欠席している反政府勢力を交渉のテーブルにつかせられるかどうかが焦点になります」というあたり。
しかし。
⇒中日新聞:ダルフール会議に暗雲 「人道危機」解決へ開幕、反政府2派が不参加:国際(CHUNICHI Web)
JEM幹部はロイター通信に「ダルフールを代表すべき勢力が会議には招かれていない」と会議出席者の構成に不満を表明。開催国リビアが一部勢力を支援している疑いも持たれるなど、互いに不信感を深めている。
また、ダルフール地方の有力部族出身で、SLA創設メンバーのヌル氏は二十六日、滞在先のパリで中東メディアに「停戦が保証されてから、和平協議に入るべきだ。まず政府側が停戦しない限り、私はシルトへは行かない」と話し、会議開催を非難した。
反抗勢力側はスーダンの停戦を信用していない。というかこれまでの経緯をNHKは十分に報道していないせいもあるが。
しかし、いずれにせよ、国際的な焦点が集まっているのだから、問題は反抗勢力なのだが。
⇒BBC NEWS | Africa | Pessimism grows over Darfur talks
Fighting in Darfur began in 2003 when rebels attacked government targets.
Sudan's government then launched a military and police campaign in Darfur.
A 2006 peace deal faltered because it was signed by the Sudanese government and only one rebel group.
The rebel movement then splintered into at least 12 groups and sub-factions.
UK pledge
Large numbers of Darfuris are strongly opposed to the talks and doubt that the negotiations will lead to any concrete improvements on the ground, says the BBC's Amber Henshaw, in Darfur.
やはり不信は根強い。というか、多数のダルフール住民がこの会議自体に不信をいだいているという現実がありそうだ。
追記
⇒ダルフール和平、協議を継続へ : NIKKEI NET(日経ネット):国際ニュース−アメリカ、EU、アジアなど海外ニュースを速報
27日にスーダン政府は一方的な即時停戦を表明した。しかし、反政府勢力側は「政府が支援する民兵による攻撃は続いており、停戦はポーズだけの公算が大きい」(主要指導者のアブドルワヒド・ヌール氏)と懐疑的に見ている。
⇒ダルフール和平協議開幕、スーダン政府が停戦宣言 : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
シルテからの報道によると、スーダンのナフィー大統領顧問は開幕式で、「我々は、この瞬間からの停戦を宣言し、一方的に順守する」と述べた。しかし、4年半に及ぶ同紛争では過去に何度も停戦合意が破られており、武装勢力関係者らは「信用できない」と冷ややかな反応を示している。
AFP通信によると、開幕式に参加したのは、12以上ある武装勢力のうちの6派。戦闘力が最強の「スーダン解放軍(SLA)」の主要派閥と「正義と平等運動(JEM)」をはじめ、複数の武装勢力が参加を見合わせている。
国連、AU関係者らは協議が長期化する可能性も示唆し、全派閥に出席の呼びかけを続けている。欠席しているSLA主要派閥の広報官はスーダン南部でAFP通信の電話取材に対し、「本当の解決策」に到達する手続きについて協議するため、国連、AU関係者と会う用意があると語った。
⇒東京新聞:スーダン『停戦宣言』反政府側は対応苦慮 和平会議長期化の様相:国際(TOKYO Web)
二十七日に突然の停戦を宣言したスーダン政府代表のナーフィ大統領顧問は本紙に、協議が数週間続くとの見通しを示し「国際社会からは停戦を歓迎された。スーダンの問題はスーダン人の手で解決されるべきだ」と述べ、政府主導の解決に自信を見せた。
しかし、突然の停戦表明に国連スタッフも違和感を隠さず「反政府側の主要組織がボイコットしたのを見て(政治的な思惑から)急きょ声明に加えたのかもしれない。事態を複雑にする可能性もある」。米国代表も歓迎の意向を示しつつも「注意深く見守らないといけない」などと慎重な言い回しをした。
一方、「スーダン連合民主同盟」のドレイジ代表は「政府が停戦を実施するとは思えない。実際に停戦が実現したら、尊重する」と述べた。
後続情報を見ると、NHK報道の微妙な偏向が理解しやすいかと思う。