読売社説 慰安婦決議 誤った歴史の独り歩きが心配だ
決議は、「慰安婦制度は20世紀最大の人身売買の一つ」としている。
そうした“慰安”施設は、旧日本軍に特有のものではなかった。戦後、米占領軍は、日本の“慰安”施設を利用した。朝鮮戦争当時、韓国軍もその種の施設を持っていたことが、今日では明らかにされている。
第2次大戦中、ドイツ軍にも“慰安”施設があり、占領された地域の女性が組織的・強制的に徴集された。
なぜ、日本だけが非難決議の対象とされるのだろうか。
決議の背景には、提案者のマイケル・ホンダ民主党議員を全面的に支援する中国系の反日団体の活発な動きがあった。ドイツについては同様の運動団体がないせいだろう。もちろん、米軍の“道義的”責任を追及する団体はない。
この問題を短くこうまとめてよいかわからないが、全体像を描く必要があるだろう。私はこの問題は表層的な戦時に留まらず本質的な動員と国家戦略に関連していると見ている。つまり、村落共同体を破壊すればそこでのそれなりの性秩序は解体される。
イリイチのいう学校・交通・病院の次に、実は、売春宿は本質的に大文字の制度に埋め込まれているのだ。そこまでのリーチをもつ論者は私の見るかぎりいない。というか、イリイチの射程がよく理解されているとは到底思えない。はてななどでも「ソープに行け」メソッドがあり、そのレベルでいろいろ議論が沸くが、「ソープに行け」が可能な制度の意味については、十分に考察されたものを読んだことはない。一言だけ残せば、「ソープに行け」が可能な言説の空間こそが、労働者の動員を可能にする国家戦略と関係している。あるいは国家のもつ影の輪郭を描く。