おまけというか倫理性というか身分の名残というか

 人はけっこう立ち居振る舞いでそういうのがわかってしまう。いいことか悪いことか、まるでわからないけど。
 食べ方とか、何を美味しいと思うかとか。
 ちょっとした他者への個々配りとか、正義への愛とか。そう、私が帰国子女の娘さんとか若い頃嫌いじゃなかったのは、ストレートに正義を持っている人が多かった。まあ、今の歳になるといいことか悪いことかわからない。
 読む本とか音楽とか。
 一見するとただの趣味でしょ、個性でしょみたいだけど。でも、ちょっと違う。
 で、そういうのは、もうなんか存在の根幹から滲むようなもので、どうしようもないと思うし、なんというか、身分というのは生まれながら決まっているんじゃないかという感じもする。
 曖昧な言い方だけど、成り上がった人間は、やはり成り上がりでしかないし、歳を取るとそういう部分は、地が出てくると言いたいところだけど出てこないで、なんか奇妙なアンバランスになる。苦労人というのが得てして人格歪んでいるみたいな。
 あと、これを言うと誤解されるのでなんだが、この年まで生きてみると、この人の先祖は農民かな武士かな、商人かな職人かなというのがなんとなくわかる。わかって偉いとかじゃなくて、ああそういうものかなというか。そしてそれは頭の良さというのでもない。ただ、行動様式の根の深いものなのだろう。
 不思議なもんだなとは思う。