日経社説 頼りない薬のリスク管理

 すべては厚労省自身の身から出たさびといっていい。最初に国会でタミフルと異常行動による若者の死について問われた時、調査では因果関係は科学的に否定されていると、木で鼻をくくったような答えをし、世論の反撃にあった。あわてて注意喚起はしたが、因果関係は認められないという主張には固執した。
 ここに薬害を繰り返してきた厚労省の体質がみえる。患者団体や被害者の訴えを黙殺してきた結果のエイズC型肝炎の薬害を、本当に反省しているのだろうか。専門情報と権限を一手に握る役所には、知らしむべからずよらしむべしの意識がまだ生きているのかもしれない。

 科学より世論ですか。
 科学というのは本質的にユニバーサルなのにこの馬鹿騒ぎが日本に閉じているのをどう考えているのだろう。EUは呆れてタミフルの危険性を否定せざるを得なかった。

 タミフルは世界での累積使用量の7割が日本に集中している。インフルエンザの流行期が入試シーズンで年度末の繁忙期にも重なるほか、ウイルス検査と投薬が日本の診療報酬体系で比較的優遇されていることも一因とされる。新型インフルエンザの壊滅的大流行「パンデミック」に備える上では貴重な医薬資源のタミフル、その使い方を誤るまい。

 パンデミックタミフルの関係がわかっているならそれらしく対応しろよ。