朝日社説 ガス器具事故 メーカーの認識が甘い

 小型湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故の問題で、器具メーカーのそんな体質が明らかになった。それも1社だけではなく、業界全体がそうなのだ。

 パロマ騒ぎのとき、私はこれはパロマだけではないなと思った。そう思う私が正しいとか主張したいわけではない。そうではなく、そういう世界に私たちは生きていたのだ。
 朝日が「業界全体がそうなのだ」というとき、その時代の壁を抜けてこちら側にきて、かつてのむこう側をあざ笑うような、私はそういう正義が大嫌いだ。
 私は子供のとき、身近にも先生にも戦地体験者がいっぱいいた。父は大病で戦地をたまたま免れたがその友達は多く死んだ。父の同級生名簿に戦死と並ぶ文字が子供ながらに絶叫したい思いだった。父の兄、私の伯父は二十代少しで死んだ。父と祖母はその死んだ伯父と私を無意識に誤解していたせいもあり、伯父の死を私は奇妙に継いだ。そして、私は、戦中という時代に自分を置いて考えてみようと思った、というか、自然にそうなった。私は戦後の壁のこちら側で生まれた。でも、壁の向こう側をただそれだけの理由で批判などできなかった。
 もちろん日本の戦争における国家・政府の関与は肯定しがたい。というか、むしろそれこそが戦中を生きた人たちの思いでもあった。だが、単純に今の時代から過去に正義をたれるやつを私はまったく信用しない。