社説特になし。

 余興で、朝P新聞社説でも。

安倍内閣発足 果たしてどこをつつく
 朝日新聞は9月28日の社説で、小泉前政権がやり残したことの最優先課題として、社会保障制度の再構築のために増税するか給付を減らすか、その二者択一に安倍首相は答えよと述べた。
 それがなぜ最優先の課題であるのか明確ではないうえ、この二者択一は小泉前政権以上に無理に国民の痛み強いる結果ともなりかねない。
 重要なことは、安倍首相は就任の記者会見で述べたように、小泉前首相が進めた構造改革を「加速」させ、同時に「補強」していくことでないか。加速策としては、技術革新を通じて経済成長を後押しし、歳出をさらに削って借金を減らすことが上げられる。
 補強策の柱は、失敗しても何度でも挑戦できる社会の構築だ。失業者や低所得者をすくい上げ、再出発の足掛かりをつくり、活力が衰えた地域社会には再活性化の策を講じることだ。
 つまりは、経済を拡大させ、それを原動力に構造改革の負の側面に手当てしていこうという戦略が、痛みの覚悟と騒いで国民を脅かすよりも重要だろう。「新自由主義」といったレッテル貼りで非難し、非効率な国の諸制度や補助依存の各分野を温存することは好ましくない。
 小泉政権初期では、経済危機に対する国民の強い不安感があり、当時は大銀行でさえ倒産し、失業者も激増した。こうした世相が改革路線を支えたが、安倍政権は景気が回復するなかでの船出であるため国民の危機感は乏しく、不要な痛みを伴う各論も許容されがちだ。参院選挙が近づくにつれ、財務省を代弁した朝日新聞の社説など、改革への逆風が強まってくると覚悟すべきだろう。
 こうした批判のなか、安倍政権が再チャレンジを掲げたのは理解しやすい。小泉改革が十分でなかった点は非正規雇用だったからだ。ただ、職業訓練の強化といった策では限界がある。
 正社員とパートや派遣の人たちとの格差をどう埋めるのか。「同じ労働には同じ賃金」という理念の実現に向けて、政策を積み上げていく必要がある。
 女性や高齢者が働きやすい職場づくりや外国人労働者の受け入れも含め、雇用のあり方を全面的に見直さないと、成長戦略は足元から崩れてしまう。
 活力ある地域は、分権によって築くべきだ。前政権の「三位一体改革」では、地方側の受け取りにも混乱があったが、数字合わせの域を出ないとの批判で消されている。
 金だけ地方に回すというのでは、バラマキと紙一重だ。自らの税源と権限を持った自治体が、それぞれの「地域を元気にできるような制度」を作っていきたいといった制度論への期待が一部にあるが、重要なことは地方の自立とそれを表現する計画立案の能力であろう。朝日新聞社のように問題を単に中央政権側すり替える論点には注意したい。
 いま危機は去ったかに見え、構造改革への国民の熱気も薄れつつある。あらためて改革の重要さを問い直し、ゴールへの道筋を明示する。「加速と補強」はそれなしには実現しない。