南無三宝

 ⇒[想念]君に捧げる唄
 ありがとう。
 「最後の日記」より。

何も考えずに静かに歩みを進めてゆくと、黄と真紅に色づいた昨秋からの落葉が一枚目に止まった。その落葉のなんと美しいことか。枯れたままで生き生きとしており、木と全体と夏の持つ美と活力にあふれていた。朽ち果てていないのが奇妙だった。さらに眼をこらすと、その葉の葉脈や軸や形が見えた。葉はその木の全体だった。
 なぜ人間はあんなに惨めに、不幸せに、病や老齢や老衰で、身体は曲がり、醜いままに死ぬのだろう? なぜこの木の葉のように自然に美しく死ねないのだろう? われわれのどこが間違っているのだろう?