読売編集手帳 8月31日付・編集手帳

◆1964年(昭和39年)の東京オリンピックは敗戦のみじめさと、悔しさと、焦土から立ち上がった喜びと、誇りと、もろもろの感情が溶鉱炉のなかで溶け合い、国民の心がひとつになった大会として人々の記憶に刻まれている◆2016年(平成28年)夏季五輪の国内候補都市に東京が選ばれた。かつての歯をくいしばる悔しさや、目の潤む感慨という燃料は切れている。国民の心をひとつに溶かす新しい溶鉱炉――五輪像をどう設計していくかが課題である◆折に触れて42年前の祭典と比較されるのは致し方ない。競い合う海外の候補都市と並んで、美しい記憶という強敵もいる。

 そんな話が全然通じないブロゴスフィア