朝日社説 消費者金融 抜け道をつくるな

 「しかし、例外は作るべきでない。 」はひとつの立場としてありうると思う。が、この社説議論の体を成していない。

 そこに例外を設けてほしいというのは、主として業界側からの要望である。次のような理屈だ。
 例外なしに金利を下げるなら、借り手の審査が厳しくなり、貸せない例が増える。利ざやが減って業者の廃業も増え、消費者にとって不便になる。結局は法外な利息を取るヤミ金融がはびこることになる――。
 与党の議員には、そういった主張に理解を示す人も少なくない。少額で短期の融資に限っては、利息制限法を上回る金利で貸し出せる例外規定を認めようとする勢いが強まっている。
 これに対して、消費者団体や弁護士らは強く反発している。そこで、灰色金利を認める例外は1人あたり1社に限り、借入額や期間に制限を設ける。そんな妥協案が浮上してきた。

 例外を求める人の主張と、例外を求めるべきでない主張とを整理し、例外を求めるべきではないとする議論が十分に導かれているだろうか? 引用部分に限らず。
 別の言い方をすると、「ヤミ金融がはびこる」危険性が問われている。これに対して朝日はこう言う。

 ヤミ金融に手を出す人は、それまでに複数の正規業者から借りていることが多い。金利が下がり返済額が減れば、追い込まれずにすむ面もある。ヤミ金融は違法なのだから、捜査当局が摘発に力を入れて一掃するのが筋だろう。

 単純に言えば朝日の主張は、「ヤミ金融がはびこる」危険性については、国家権力で弾圧すればいいのだということだ。
 「ヤミ金融がはびこる」危険性の背景については触れていない。
 この問題は大筋では銀行の問題なんだと思う。社会の公論を新聞社説が狙うならそこを切り込むべきではないだろうか。街金の金づるは銀行である。他国では消費者への金融業は銀行が担っている。そうしたあたり。