産経社説 国語力の劣化 漢字の持つ力を見直そう
話し言葉は話された瞬間、即座に消えてしまうので、どうしても記憶するのに曖昧(あいまい)さを伴う。これに引き換え、一字一字に意味を持つ漢字を使った書き言葉は、きちんと言葉の概念を把握しつつ記憶できる特徴がある。
重複表現や誤用などの意識調査で、「一番最後」や「元旦の夜」という言い方が気にならないと答えた人が相当数いた。
最後の「最」に“最も”という意味があり、元旦の「旦」は地平線を表す「一」の上に太陽が昇る象形指事文字というような言葉の覚え方をしてきたら、そうした表現のおかしさにすぐ気づくであろう。
バカ丸出しだな、これ。
現在使われている漢字の大半は「借用」。つまり、音を借りて宛てるということの歴史的な積み重ねによっている。
もちろん漢字自体には象形的な意味があるが、基本的に組織的な漢字の運用において意味はその音価に担わされる。
ちなみに、「最も」の意味の「最」は借用。本字は、ワカンムリに取。