カンブリア爆発…

 メモがてらに
 再録⇒カンブリア爆発 - Wikipedia

チャールズ・ダーウィンは、自己の進化論の中で、生物進化がゆっくりと進んできたはずであることを説いたが、そうであれば、先カンブリア時代からは様々な単純な多細胞動物の化石が出るべきであって、それが出ないことを謎だと述べている。

このことを説明するために、様々な考えが提示されてきた。たとえばその時代の地層が、何らかの理由で欠失しているとか、多細胞動物の祖先が化石になりにくい生活をしていたとか、あるいはごく小型で軟体性であったので化石にならなかった、などである。

しかし、その後の研究で先カンブリア時代の化石が次第に発見され、カンブリア紀の化石産地も新たに調査が行われた結果、謎はさらに深まってきた。

 ⇒Special Story:ゲノムから進化を探る研究-BRH

すなわち、遺伝子の爆発はカンブリア爆発に3億年ほど先に起きていたことになる。遺伝子はたしかに爆発的に増えていたが、それは動物の爆発的多様化とは関連していなかったのである。例えば、脳の形成に関与する遺伝子が、脳どころか神経系すらない原始的なカイメンにも存在する。この遺伝子はカイメンでどんな働きをしているのか分からないが、この事実は次のことを教えてくれる。生物多様性の分子機構を理解するためには、どんな遺伝子が作られたかということを追求するのではなく、すでに存在している遺伝子をどう使って多様な生物を生み出したかを研究すべきなのである。ハードではなく、ソフトの問題なのである。

 ⇒生命誌研究館:カンブリア爆発と遺伝子の多様性-BRH

最近、多細胞動物に最も近縁とされている単細胞原生生物の立襟鞭毛虫を培養し、いくつかの遺伝子の単離を試みました。驚いたことに、多細胞動物になって作られたと信じられていた、チロシンキナーゼ(PTK)のような細胞間情報伝達に関係する遺伝子の多様化は、動物と立襟鞭毛虫との分岐あたりあるいはそれ以前、すなわち単細胞の時代にすでに完了していたのです。われわれは、多細胞生物には多細胞独特の遺伝子があって、そうした遺伝子が多細胞らしさを形作っていると信じてきましたが、その考えはどうやら捨てなければならないようです。